1年間での組織のDiffを取ってみた

Insurtechラボ所長のたけひとです。この記事はシン・アジャイルアドベントカレンダー2022の企画で「2022年の組織のDiff」について書いてみます。今年1年のふりかえりです。

このラボは4月に立ち上げたので、まだ1年たっていませんが、せっかくですのでふりかえりをしたいと思います。

ラボの立ち上げ~経緯

 私は去年の今頃、とある開発案件で、初めてのスクラム運営を推進していました。お客様に頼んでスクラムをやらせてもらい、プロダクトオーナーとして、色々試しながら、無事チームでプロジェクトを終えることができました。いろいろ問題もあったものの参加メンバー、お客様からも好評で、これからこのチームを育てていきたいと思っていました。

ところが、急遽、R&Dの新組織を立ち上げるという話があがり、白羽の矢が立ち、4月から新組織の運営が始まりました。決まるのがぎりぎりだったので、とにかくインフラメンバーやコンサルメンバー、デザイナー等幅広いメンバーを集めいたという事だけアピールし、組織を立ち上げました。

4月時点では、メンバー全員、自分が何をやるのかわかっていないまま招集され、そんな状態でキックオフMTを実施しました。我々のチームはアジャイルや仮説検証に取り組んでいくこと!悪の組織のメンタルで革命進めていくことを話しましたが、若干滑っていたのをよく覚えています。

開始時の状態??

・スクラムって何それ?おいしいの?

・アプリメンバー、インフラ、デザイナー、コンサル、品質管理部みたいなメンバーが集まって何を検討するの?いるの?

・チャット、ホワイボードツール、バーチャルオフィス等色々言われて、大変。メール以外のツールって本当にいるの?

・社外へ発信なんて私たちには関係ない

新しくやったこと(運営面)

1.コミュニケーションツールの整備 

・東京、大阪とロケーションが離れており、また兼務者も多かったため、チームでのコラボレーションを進められるようにコミュニケーションツールの導入は必須だと考えていました。会社には仮想デスクトップでのTeams等のコミュニケーションツールはありましたが、新規ビジネス検討をするうえでは、より気軽に密にコミュニケーションできるようなツールは必須でした。(むしろ、そういった環境での検討もできないようであれば新規ビジネス検討は不可だと思います。)

結局、チャット(Slack)、ホワイトボード(miro)、バーチャルオフィス(Gather)、タスク/成果物管理(redmine)を導入しました。私の会社はお固い会社なので、ツールの申請を通すのが一苦労ですが、申請を通すためのセキュアなSSO基盤を準備するためにもまず、ツールを使ってみないと始まらないため、申請をしながらも並行でツール自体は使い始めてみました。(あとから怒られたら止めたらよいといったスタンスで、申請は後付けで通しています)

こういったツールは本当に使ってみないと効果が分からないのと使うタイミングにおいては基本的にネガティブな意見の方が多い気がします。ただ、使い始めると前には戻れなくなるのが常なので、自身が絶対便利になると思っているツールや信頼できる有識者がおすすめするツールがあれば、とりあえず使ってみるのがおすすめです。特にリモートワーク下においては必須だと思いました。

学び

・ツールは必須だが使ってみないと効果を説明しづらい。ツール有識者が押すのであれば信じてチャレンジした方が良い。チャレンジしてから正式採用するかどうか、どう申請を通すかは考える

2.チームの運営を無理やりスクラムベースで実施

・ラボの各種運営については、2週間のスクラムベースで実施しました。スクラムは複雑な問題に対応できる「透明性⇒検査⇒適応」の3本柱を基本としたフレームワークです。ラボといった特性上、タスクが流動的になることが多いため、開発をしているしていないに問わずラボの全チームが全てスクラム形式でPJT実施する運営することで、変化の回転を回せると考えました。

こちらは良かった点もあるのですが、痛みを伴う対応でもあり、練度が低い状態やメンバー集中しきれない状態(兼務者が多い等)で、無理やりスクラムを実施するのはなかなか難しいと感じました。スクラムは続けているものの、ジェフサザーランドさんが言っている最高のチームまでにはだいぶ距離があると感じています。

どうやって進めると良かったのかはいまだにわからない所もあります。ただ実施する上では一定の覚悟とサポートや、困った時に相談できる有識者は必要と感じました。

学び

・スクラムは理解は容易、習得は困難というだけあり、プラクティスとしてスクラムを進めても、チームが Be Agileに運営できるまでにはかなりの時間と労力がいる(特定のPJTだけスクラムで回すのと全体をスクラムで回すのでは難易度はだいぶ異なる)

3.四半期に1回の感謝の会とゴールデンサークルの共有

・ラボの運営として、4半期の跨りのタイミングは、スプリントを止めて、その間に、「感謝の会(チームメンバーがメンバーに対して感謝の言葉を付箋に書き、一人ずつそれを読み上げ、最後感謝されたメンバーから一言もらう)」という会をやっています。

こちらは重要とは頭では理解するものの、正直、企画する時は毎回不安を感じています。(感謝がなかったらどうしよう?4半期前にもやったし、わざわざまたやる必要ないのでは?みたいなことが必ず頭をよぎります)

ただ実際実施すると、単純に感謝されることはうれしいし、逆に感謝をすることで自分自身でプロジェクトに対して前向きな点を整理することができます。意識的に実施しないと意外と難しいため、ずっと継続したいと考えています。(感謝の会の詳細は下記記事を確認ください)

あわせて、個人単位にやってきたことと、向かうべき点を整理し、改めて自身のゴールデンサークル(Why,What,How)を作成し全員で発表しあう会をやっています。そのタイミングで自身の目標と組織の目標を考えてもらう事を意識しています。個人毎の想いの共有はチームビルディングとしても重要と考えており、引き続き継続したいと思ってます。

ただ、こちらも日常的な運営の中では『組織の目標が分からない』という声をよく聞くので、もっと自身の目標、プロジェクトの目標、組織の目標をすり合わせて作り出すような運営は改善/試行が必要と思っています。

学び

・意図的に感謝やふりかえり/目標を文章化して共有する事は重要。やる事自体が目的化しないようにはしたい。

4.HPの作成

・発信するマインドが重要と考え、ラボのHPを作製しメンバー皆で学んだことを書くようにしました。この活動はずっとやりたいと思っていて過去にも、ラボ設立の前にも何度かチャレンジしようとして挫折(メンバーを巻き込めない)してましたが、前向きな方も集まり何とか実施できました。実験で作ったWebサービスを置いてみたり、こういった自由なWeb環境は研究する上では重要と思ってます。

ペルソナ自動作成サービス(ペルソナ君)

記事検索サービス(あんてな君)

最初にアイデアを話した時は、メンバーからは、あまり前向きな反応は得られなかった気がしますが、何回かやりたい旨話しながら実施しました。やってみると案外簡単にできちゃうものです。

「アジャイル 本」「GA4 SPA」「Amplify UI カスタマイズ」等のキーワードで良く検索もされており、かすかにでも、世の中に役に立てればと考えています。

こういった取り組みは、正式に会社に許可を求めると、『どこまでが出してはいけない会社の情報で、どこからは書いてよいのか? 社外にメッセージを出す際のチェック運営等』があり、対応負荷と効果を鑑みた際、ぽしゃってしまう(もしくは実施してもメンバーが不幸になる)事が多いため、現在は会社とは別の趣味のページとして運営していますが、ゆくゆくは会社の正式な活動にできればよいなとたくらんでいます。

学び

・「許可を求めるな。謝罪せよ。」の精神でとりあえず実施してみる。(実施した動くものがあり、成果が出てこないとそもそも、周りに何をしたいか伝わらない)

アジャイル&デザイン思考&仮説検証&DevOpsの浸透と今後

・アジャイルや仮説検証等の浸透に向けてラボ内外で取り組みを実施してきました。こちらは組織への浸透まではだいぶ乖離もあり、進んでいるのか止まっているのか悩むこともありますが、なんとか、はじめの一歩だけは踏み出せたと思っています。

下記やったことになります。

  • 全社に向けてアジャイル開発の簡単なガイドを作製
  • 全社に向けて週次でアジャイル勉強会を実施中(毎週10~20人程度参加)
  • 社内で有志のアジャイルコミュニティを設立(20名程度参加)
  • 実案件に対してアジャイルコーチとして運営を支援
  • ローコード、ノーコードツールでの開発を実施(デザイナーと協業しながらアジャイル開発を回す)
  • 仮説検証型の活動を開発と並行して実施
  • 社内やお客様に対して、デザイン思考/仮説検証のワークショップを10回以上実施

なんとなく書いて見ると「やった感」があるのですが、実施者の感想としては、「ただ藻掻いているだけ」という感想です。それでも一歩を踏み出せたこと自体は非常に価値がある事だと思います。

「良いプロダクト/サービス」が組織を変える求心力になる。

今後の活動を厚みのあるものにするためにはプロダクト自体の内容が重要と思っています。現在はいろいろな取り組みはしているものの散発的であり、取り組み自体が関連し合って成長するような流れにはできていません。来年こそは中心的な「プロダクト」を産み出し、活動を加速させられればと思います。

また、もう一つ狙っているのが「間接系業務のアジャイル運営」です。自分たちの間接業務に関しては最もカイゼン・変化を起こしやすい領域だと思っています。また自分たちの業務のため、失敗のリスクも少なめなので、そういった間接業務にアジャイル運営を組み込んで変化の加速を狙っています。

今年踏み出した一歩をまた来年もっと良いDiffを報告できるように頑張りたいと思います。まとまってない文章で長文になり申し訳ありませんでしたが、考えを整理する良い機会となりました。読んでいただきありがとうございました。