スクラムチームの成長に向けて

 この記事はInsurtechラボ202403アドベントカレンダーの27日の記事として書いています。

・アジャイルを実践できるチームを増やしたい。そのためには他のスクラムチームのお手本になるような、スクラムの本質を理解し実践しているチームを作りたい、という目的のもと、「チーム」を成果物とするスクラムマスターをメインターゲットとしたチェックリストを作成する

スクラムのフレームワークは意図的に不完全なものであり、スクラムの理論を実現するために必要な部分のみが定義されている。スクラムは実践する⼈たちの集合知で構築されている。スクラムのルールは詳細な指⽰を提供するものではなく、実践者の関係性や相互作⽤をガイドするものである。

Scrum Guide2020

・うん。分かるんやけど、それなら何ができてると、どんな状態になってるとええのか、て言うと。

この項目ができていたら他のチェック項目は無視していい。あなたのプロセスはうまくいっている。

「定期的(4週間以内)に動作する、テスト済のソフトウェアを提供している」
「ビジネスニーズに基づいたものを最優先して提供している」
「プロセスを継続的に改善している」

the unofficial Scrum Checklist /Henrik Kniberg

・そうやと思うけど、もっと手前の段階で、駆け出しスクラムチームが守破離の「守」を実現できているのか、を確認したい、という場合にはどんなチェックをしたらえんやろか。

・これも世の中には既にいろいろあるにはある、けど駆け出しの人が読んで真意を理解できる、というレベルに揃ったものとなるとちょっとバラツキまちまち感がある気がする、というのはもちろん個人的な見解です。

 先人たちの資料を参考にしながら、ラボで活用できる「守」のスクラムのチェックリストを作ってみる。

 <参考資料>

the unofficial Scrum Checklist /Henrik Kniberg

https://www.ryuzee.com/contents/blog/14561

https://www.odd-e.jp/ja/article_009_4/

https://scrummasterchecklist.org/pdf/Scrum-Master-Checklist-jp.pdf

スクラムガイドをベースにチェックシート作成

・3つの役割、5つのイベント、3つの作成物で参考資料をもとにチェックポイントを整理してみる。

 まずは参考資料から寄せ集めて、用語の使い方を統一しながら、チェックの目的を見失わないように。

 3つの役割で26、5つのイベントで29、3つの作成物で17の72チェックポイントにまとまった。

・このチェックシートをラボ内でレビューしたところ

「スクラムガイドベースの「守」なら三本柱や5つの価値基準に触れたほうがよいのでは」

「施策を実施しているか否かは判断しやすいが「予測可能性を高めている」は判断できるのか」

「イベントのタイムボックスの情報はあったほうがいいのでは」

「「以降のスプリントで実現されている」は次のスプリントにならないとチェックできない」

「とにかく量が多すぎてチームの課題を捕えづらい。観点に応じた細分化ができないか」

 などなど、シートの説明も時間オーバーするなか、建設的なフィードバックを多数いただきました!

・POからも「チェックシートはチェックを○にすることに注視して、本来の目的を見失いがち。全項目が○になることが目的ではないはず。チェックを通して三本柱や価値基準の理解が深まるか、を確認できるように」とのフィードバックをもらい、再考。難しい。

スクラムチームのチェック運営の改善

ペルソナは新任スクラムマスター。これまで開発者だったが今期よりスクラムマスターを担当。チームを観察していてもこれまでの運営と同様であり、チームに足りていないものが何で、何を改善すべきなのか見いだせない。スクラムチームを検査するための鑑としてチェックシートを使用してほしい。(少し慣れたスクラムマスターもチーム観察の際のリファレンスとして利用可能)

・チェック項目の文言追加、修正を実施しつつ、目的をスクラムマスターハンガーフライト(※)で共有した結果、

「スクラムの理解度によってバラツキが出そうだが、ぜひやってみたい」

「チェックした内容を持ち寄ってスクラムマスター同士で会話すると学びも多そう」

「チームの一員、という意識が強く内部視点に偏りがちなので、外部視点を取り入れられそう」

 という多くの前向きな意見が集まった。さすがスクラムマスターさんたちです!

(※) スクラムマスターハンガーフライト:週次でスクラムマスターが集まり、自チームの課題の相談や取組事項の共有などを行う

・実施してもらったフィードバックは以下の通りで、やはり72項目のチェックは無理があることを痛感。

「チェック項目が多く負荷が高い。せめて30分で完了するレベルにしてほしい」

「前半は頑張れたが後半は力尽きた」

「何となく感じていた課題を確認できた」

「内容はチームの観察、自身の内省のためによいと思う」

・翌月は3-5-3の11項目に「重点確認ポイント」を設定してのチェックを依頼。負荷感は一定解消された。

「次の1ヶ月に何に取り組むのか分かるようにしておくと、次月の観察時に判断できる」

「どんな点に取り組み、その結果どのような改善がされてチームの成長につながったのかが分かるといい」

「チェック項目が最低限に絞られているので、その視点で現在のチームを観察することに集中できた」

チーム横断のわくわく発見隊!

・ラボ内のチームを跨いだワークショップにより「仲間・同志・チームが一体となって成長を実感できる」取組の
検討を行い、エレベーターピッチパッケージデザインを作成する「わくわく発見隊!」というイベントが開催され、わたしのチームでは「スクラムチームの自慢大会の開催」を実施することになった。

・という中で作成したパッケージデザインがこちら。

・となりのスクラムチームのスクラムイベントを観察して、素敵なところを発見し必ずほめる。それを自分のスクラムチームに持ち帰って展開して、チームの成長に!

・普段は別チームのメンバーとあまり話す機会も多くないけど、違う視点からおもしろいアイデアが出てくるし、普段なら思いつかないようなこともディスカッションのなかで生まれてくる。楽しい。

・次にチームのユーザーに関するサクセスストーリーを4コマ漫画で作成する、というラボ内のイベントでこれまで改修を重ねてきたチェックシート(Early Scrum Mirror)との関係性が少し具体化された気がする。

「となりのスクラムじまん」実験実施

・自チームの状態をチェックしたチェックシート(Early Scrum Mirror)を参考資料にして、他のスクラムチームのデイリースクラムを見学する。見学の際にはスクラムガイドの「スクラムの理論」「価値基準」をベースにチェックし、必ず1か所以上は素晴らしい点を発見してほめる。

・見学後に対象チームのスクラムマスターと1on1で「どうやっているのか」「なぜこれがうまくいくのか」などの確認を実施し、その後スクラムマスターのハンガーフライトで1on1確認事項などを共有する。

スクラムマスターのみなさんからの反応は、

「他チームの運営や工夫を見ることで新たな気付きが得られる」

「自分が気付けていないところを気づかせてくれた!勉強になった」

「チームの状況に応じて、なので絶対評価が難しいなかで、相対的な比較ができるのはうれしい」

スクラムマスターだけでなくチームメンバーにも見てほしい」

というプラス評価もある一方で、以下の改善点も。

「見学されるのは問題ないが、他チームを見学し行くのは思いのほかハードルが高い」

「デイリースクラム1回(15分)で分かることは限られているし、見学したのが普段とは違う場合もある」

・実験ではあるものの上々の立ち上がりだった気がする。せっかくだし、ちゃんと「じまん」になってないので、第4クォーターキックオフで表彰式を開催!Miro上ではあるものの、表彰状を贈呈!!

「表彰式は楽しかった、嬉しかった」

「感謝の会と同じように、表彰状を授与される場面だけでなく、授与するのも楽しかった」

スクラムマスターが自チームを観察して、何かちょっとうまくいかない、とかこれでいいのか、と思ったときに自由に他のスクラムチームを見学して、自チームの成長につなげる、ということが実現できるといいのにと思いながら第4クォーターの「となりのスクラムじまん」を実施中です。