新米POとしての学び①

Insurtechラボ所長のたけひとです。この記事はInsurtechラボ3月アドベントカレンダー企画3日目の記事として「2022年度の学び」について書いています。

今年1年POとしてプロダクト作成に向き合いましたが、その中での学びを、プロダクト作成を事例として紹介します。ここでは私が頭の中で作りたいと思っている仮想のプロダクト「毎月アドベントカレンダーの登録ができるツール(エモい・アドカレ)」を例に記載します。(この記事を元にどなたか実際に先に作って下さい!!誰も作らなければラボで今年作りたいと思います。)

プロダクト作成の流れ

プロダクト作成の流れですが、「Insurtech研究所とは」でも記載していますが、「デザイン思考」⇒「仮説検証」⇒「アジャイル開発」⇒「DevOps」の流れが重要と考えています。

上記サイクルをいかにインクリメンタル/イテレーティブに実施できるか?早くサイクルを回せるか?ということが非常に大事なポイントです。

といってもどの工程も初心者にとっては強敵であり、早く実施することは非常に大変です。以下、仮想のプロダクトを元に上記流れについてのポイントを事例と共に記載しますが、とにかく練習あるのみという感覚で、一定のカタを繰り返しながら身につけていくしかないと感じています。

デザイン思考でユーザーを理解

プロダクトビジョンについて

・プロダクト作成に当たっては何より顧客理解が重要とされます。そのためデザイン思考のアプローチを行い、ユーザー理解から始めることが重要です。

ただ、1年間実際にプロダクト作りに取り組む中で、顧客理解より大事なものとして「プロダクトビジョン」であると考えるようになりました。もちろん、ビジョンがなくても的確に顧客を理解し、プロダクトを作成することができれば、プロダクトとしては成功できると思うのですが、プロダクト作成は『仮説検証活動』『開発』『グロース』とかなり強敵だらけで、いきなり大成功するようなものではないため、試行錯誤を繰り返す事になります。その時、強い想いがないと継続することは厳しかったり、安易に一般論に流れていきそうになり、かなりの確立でくじけてしまうと感じました。

ビジョンとは、「そのプロダクトが世界の課題に対して何らか変化をもたらすという世界観」です。(つまり、POは世界を変えられるということです。)

いきなりビジョンというと難しい気がしますが、「ラディカルビジョンステートメント」というフォーマットで記載するとわりと簡単に言語化できると思いますのでぜひ試してみてください。(下記記事参照)

例:エモい・アドカレのラディカルビジョンステートメント

現在、各チーム、コミュニティーが自分の意見や学びを楽しく発表し合いたい時

私たちは発表できる仲間のコミュニティ―を新たに作ったり、発表用の基盤を新たに作らなければならない。これは耐え難い事です。

なぜなら発表したいと思った時にすぐにできず、時間がかかり心が折れてしまうからです。

私たちは年に1回あるアドベントカレンダーでのブログ発表ように誰かが設定したテーマに対して、興味があるメンバーが次々と発表し合い、メンバー同士で称賛し合う世界を夢見ています。

私たちは「EveryMOnth Advent Calender(エモい・アドカレ) 」を通じてその世界を実現します。

デザイン思考について

・プロダクトのビジョンを書く時は、ソリューションについてもある程度のイメージが必要となります。とはいえ簡単にソリューションのイメージは持ちづらいため、そういった時には「問い」を作成する所から始めます。かのアインシュタインも「私は地球を救うために1時間の時間を与えられたとしたら、59 分を. 問題の定義に使い、1分を解決策の策定に使うだろう」と言っているくらい、答えよりも問いが重要と言われています。

そこで有効なのが「How Might We」という技法です。「我々はどうしたら@@@を***できるだろうか」と考える問いを作り出します。課題に対して問いを考えるのですが、

  • 大きすぎず小さすぎず適切なサイズの問いか?
  • ワクワクする内容か?(思わず議論が始まってしまうソソる問い)

となるように問いを洗う出すことが重要です。といっても難しいため、「1.課題を整理」「2.着眼点を洗い出す」「3.複数の視点で着眼点を見てみる」という手順で問いを洗い出していきます。独りで考えるよりワークショップ型で複数人で議論すると良い意見が出やすいと思います。

例:エモい・アドカレのHow Might We

1.課題を整理

・チーム/コミュニティでメンバーが学びを発表、賞賛する取り組みを検討

2.着眼点を洗い出す

・普段あまり記事を投稿したり、投稿した記事を見ることのないメンバーもアドベントカレンダーを実施すると率先して記事を見るようになる。なぜなら、ゲーム性やゴールに向かっての楽しみ等、一人の作業であるもチームで達成していく感じがあるからだ。

3.複数の視点で着眼点を見てみる

1)良い面を延ばす

「私たちはどうすれば楽しく記事を投稿/見ることができるようになるだろうか」

2)悪い面を除去する

「私たちはどうすれば投稿しないメンバーに対して前向きに参加してもらうことができるか」

3)反対を探す

「私たちはどうすれば記事を投稿したり見ないで、学びを発表賞賛する仕組みを作れるか」

4)前提を問い直す

「学びを発表せずに、自分で抱えたまま皆で共有する仕組みはないか?」

5)形容詞で考える

「私たちはどうすれば、気が重い投稿作業を楽しい投稿作業に変換することができるか」

6)他のリソースを活用する

「私たちは人の投稿を楽しむことで、自分たちで学びを増やし賞賛する仕組みをつくれないか」

7)ニーズや文脈からアナロジーを作り出す

「人生ゲームのような楽しみゲーム性を高めたアドベントカレンダーを作り出せないか」

8)課題に対して着眼点をひねる

「今まで一回も投稿したことのない人、ブログを見ない人を楽しめるツールにするためにはどうすればよいか」

9)現状を変える

「普段投稿をよくするメンバーが投稿しないメンバーを盛り上げる方法はないか?」

10)着眼点を小さく分割する

「私たちはどうすれば記事を投稿できるか」「どうすれば記事を見るようになるか」「どうすれば一人で作業をたのしめるか」

このように洗い出した問いからソリューションを検討します。ソリューションを検討するためにお勧めなのが「ライトニングデモ」です。こちらは関連するようなサービスやインターフェースのイメージをメンバーが持ち寄り短い時間でのデモを行うことです。問いからすぐにソリューションを検討してもよいのですが、今までのワークショップの経験ではインプットを一定行い、全員の情報を揃え、頭を活性化することがワークショップ成功のポイントでした。

そのため、OUTPUTを出すこと以上にINPUTが共有できるワークショップのコンテンツを意識してプログラムを組むようにしています。

次回予告_仮説キャンバスについて

 上記作業を繰り返せば、ソリューションのイメージができてくると思います。実際はインタビュー等も必要ですが、その辺はまた別の記事で書こうと思います。次回は、いよいよ「仮説キャンバス」の作成です。このキャンバスがプロダクトの成否を決めるといっても過言ではありません。それでは失礼します。続きの記事も読んでいただけると幸いです。(下記記事)