ノーコード開発者のマインドシフト

Insurtech研究所では、ノーコードプラットフォームを活用したアプリケーション開発を研究しています。

嬉しいことに、この1年間で社内外からノーコードプラットフォームについて多くの問い合わせを頂き、開発案件での活用を調査してきました。しかし残念なことに、採用を見送ることになった案件もありました。

1年間の活動を経て、私はノーコードプラットフォームを携えたシステムエンジニアとして、「作りたいものを安価に作る」マインドから、「実現したいことを素早く叶える」というマインドにシフトする必要があると考えるようになりました。

ノーコードプラットフォームの強み

ノーコードプラットフォームについては、2022年12月にも考えをまとめました。

ノーコードプラットフォームを用いた開発は、動作が担保された機能部品群の設置とコンフィグで行います。そのため、「①短期間で実装可能」「②機能部品の単体テストが不要」「③属人性の排除」といった恩恵を受けることができます。さらに、開発環境と実行環境が提供されることから、「④実装したアプリを即座に動作確認」することができ、顧客と実装イメージの共有をしやすい強みがあります。

これらの強みがあるため、ノーコードプラットフォームを活用することで、新しい取り組みのアイデアを素早く実現できるようになり、イノベーションの創出を促進するのに役立てることができます。

ノーコードプラットフォームの強み

機能部品群の設置とコンフィグで実装することの強み

  • 短期間で実装可能
  • 機能部品の単体テストが不要
  • 属人性の排除(=保守性の担保)

開発環境と実行環境が提供されることの強み

  • 実装したアプリを即座に動作確認することが可能

「開発コストの削減」は難しい場合もある

上述の強みを引き出せるのは、ノーコードプラットフォームの機能部品群で実現可能なスコープの開発であることが前提です。

一般的に、ノーコードプラットフォームは「開発期間の短縮」や「開発コストの削減」に有効と言われます。確かに、これらの効果はあるのですが、ユーザーの背景によっては期待に応えられない場合もあります。

Insurtech研究所にノーコードプラットフォームのお問い合わせをくださった方の中には、「開発コストの削減」を期待されている方がいらっしゃいました。そのお問い合わせの背景は、要件をもとに従来のスクラッチ開発の前提で見積もったコストが膨れたために、ノーコードプラットフォームを採用することで開発コスト削減を検討したいというものでした。このように、すでに要件(=やらなければならないこと)が決まっている場合、できることに制約があるノーコードプラットフォームでは要件を満たせない恐れがあるのです。要件を満たすために無理やりカスタマイズを加える、あるいは追加の基盤を用意するといったことを検討していくと、当初期待していた「開発コストの削減」が難しいと判明し、ノーコードプラットフォームの採用を考え直すことになります。

要件ありきの案件では、ノーコードプラットフォームの強みを発揮できない場合がある。

「作りたい」から「叶えたい」にマインドを変える

ノーコードプラットフォームは、システム化がビジネスのボトルネックとなる場合にこれを解消し、「やりたいこと」を素早く叶えるのに役立ちます。一方、「やらなければならないこと」ありきでシステム開発する案件では、プラットフォームのできることの制約がリスクとなります。すなわち、以前のフェーズで決定した要件を満たすようにシステム化設計をするような、いわゆるウォーターフォール開発にはマッチしません。

ノーコードプラットフォームを携えたシステムエンジニアは、アジャイル開発をしなければなりません。クライアントの課題の理解に努め、ノーコードプラットフォームでシステム化できるスコープを見極める必要があります。その上で、ノーコードプラットフォーム単体で実現できないことについては、追加の期間や費用を見積もり、スコープをクライアントと調整します。このような割り切りを許容するからこそ、スクラッチ開発では考えられない短期間での開発が可能になります。

クライアントの要求に従うだけではなく、クライアントと共に課題達成を目指すチームとなることが求められます。要件を満たすシステムを「作る」というマインドから、クライアントの目標を「叶える」というマインドにシフトすることで、ノーコードプラットフォームのポテンシャルを発揮させることができます。

クライアントの課題を理解して、やりたいことを叶えようとする場合に、ノーコードプラットフォームは役立つ。

この記事はInsurtechラボ3月アドベントカレンダー企画2日目の記事として書いています。