「DX(デジタルトランスフォーメーション)」のその前に分析しよう自社の現状 第2話

登場人物
ZAI… 本名:図合(ずあい) 守、読みにくいので自らZAIと名乗る、48歳
     最近覚えた、「事象を分析するときのアカデミックな知識」を披露するが、分析自体は甘い傾向。
寺野 … 本名:寺野 中(あたる)、日本酒大好き、29歳
     勘が良く感性のおもむくまま分析を行う。口が悪い。

 

寺野くん、例の会社から回答がきたぞ。

・・・

おーい。また二日酔いか?

はようございます。。。二日酔いというよりも眠いですzzz。

こら!寝るんじゃない!昨日も日本酒か?

お店に「而今」があったんです。普通置いてないレアなお酒だったんで、ついつい進んでしまいました。
激レア☆4クラスですよ。いやあ旨かった。
三重県ってほかに「作」っていうお酒があって、以前ガンダムのザクとかけたりして、ビジネスもなかなか
上手そうでした。隣の滋賀県でもドムを意識した「三連星」という日本酒もありましてね。。。

そうかそうか。じゃあ、容赦なく仕事を始めるよ。下表が前回までの内容だ。

こちらから提示した確認事項について回答が来たので、読み解いていこう。まず総務からだ。
他社と情報交換して、印刷代とコピー代とプリンタ台数がわかったとのことだ。
尚、情報を入手した会社の規模は、今回調査している会社と売り上げが同規模の会社だそうだ。

他社とは大きく金額が違いますね。他社は、ペーパーレス化が進んでいるということでしょうか。

B社もC社も申込書を電子化して、電子保存するようにしている。チラシや顧客あての連絡は、印刷業者に
一括委託してコストを下げている。コピー代は、ほぼプリンタのリース料でその基本契約内で書類をスキャナ取り込みしているようだ。
C社は、コピーを厳しくチェックしていて、大量にコピーをした従業員には本社から確認が入るような牽制
する仕組みもあるようだ。

社内での紙を大幅に削減しているということですね。

近年の在宅勤務も影響しているようだ。PCの中だけで業務ができれば場所は問わないからな。
一方でA社の申込書は紙でかつ毎回コピーして控えを担当者の営業所に保管している。
申込が多くなればなるほど、紙が増えるということだ。
印刷業者も営業所単位で地元の業者に依頼しているようで合理化が進んでいない。

でもそれだったら申込件数が増えているのに紙代が例年通りっておかしくないですか?

確かに。鋭いな。何でだ?

面倒になってコピーとるの、やめちゃったとか。

何で?

忙しいから。

どういうこと?

だーかーら、現場の人たちが業務が回ってなくて、申込書のコピーができてないとか。
それで顧客情報が無いから既契約訪問ができないとか。

それ、社内の正当な手続きができてない、ってこと?そんな課題の可能性もあるのか。

そもそもの顧客データの管理はどうしているのかな。申込の段階で入力するのだと思いますが、営業所に
控え保管しているということは、顧客データを本社と一括管理をしていないということでしょうか。

もし一括管理していないとなると、解約があった場合はどうしているのか。FAXか?

あと気になるのは、予算のところですね。無検討に毎年同じ予算をつけたりしていないですかね。

企業内での同一ビヘイビアの繰り返し】ってことか。

予算を全部使いきるために、本当は必要のないチラシを作っていたり、とかやってしまいがちですよね。

いろいろわかることがあるな。予算は確認してみよう。申込書のコピーについては、営業推進に確認だな。
データ管理は、同期にきいてみよう。続いて人事だな。
各年の採用数、退職者数と定年退職者数、入社年次ごとの所属人数と給与をもらった。

<職員の入社数、在籍、退職者数>

<職員の入社年次別人数>

営業推進は、ここ5年で25人減っていますね。他の部門は、退職があったら必ず翌年補充されていますね。この会社の営業所はいくつあるんですか?

ホームページを見ると40拠点あるようだ。

1拠点に5人ちょっとというのが、多いのか少ないのかわからないですね。
拠点別の売上件数ももらった方が良さそうです。

わかった。給与はすごいな。完全年功序列で、年次が上がれば必ず給料が上がるな。
良い会社といえばそうだが違和感があるな。

そりゃそうですよ。頑張っても頑張らなくても給料が同じだったらやる気になるんですかね、ということ
ですよ。

  <職員の入社年次別給与(役員/管理職は除く)>

 

営業現場は、売り上げが多い営業所に年4回特別報奨があるらしい。

それは救いですね。一般管理部門や事務部門は、入社年次で給料がわかってしまうわけですね。

そうなると、職員が在籍する限り給料は上がり続けるな。
この会社は、創業20年だけど普通40年くらい働くからな。その時の給料はこの倍になっている計算だ。

人件費でこの会社、潰れますね。給与体系と人事体系を見直さないといけないですね。
職員のやる気を促す人事制度に変えてほしいものです。

対応策は、後にしよう。他の課題も出てくるかもしれないからな。そういえば新契約部門の人数はどうかな。創業以来目立ったシステム化はやっていないとのことだった

100人ですか。営業推進が225人で毎日1件ずつ契約をとってきたとしても、1人あたり2申込で
仕事が終わってしまいますね。どんなに難しい申込内容でも1申込3、4時間もかかることはないです
よね。ダブルチェックをするとしても1人あたり5申込。
申込書の記載内容なんて住所と名前とプランと支払方法くらいですよね。超非効率に見えます

何か他の業務をやっているのかな。

10人に減らしても業務が回りそうな予感すらします。

業務内容を追加で確認しておこう。今日はこれくらいにしておこう。

 

次回に続く。