レトロスペクティブに新しいワークを取り入れてみた【スクラムマスターへの道 #10】

はじめに

こんにちは、スクラムマスター🔰ヒロキングです。

今回は、4度目のレトロスペクティブ(スプリント17)の取り組みについてお話していきたいと思います。

前回は、心理的安全性の高いチームと自分たちについてチームメンバーに向き合っていただきました。
心理的安全性の高いチームとは?(自身3度目のレトロスペクティブ)【スクラムマスターへの道 #8】を参照ください)

今回は、「ふりかえりガイドブック」などの書籍から知見を得て、下記のワークに取り組んでみました。

細かい内容まではお伝えすることはできませんが、各ワークについて、やってみた感想や改善点、気づきなどをお伝えしていきたいと思います。

タイムスケジュール所要時間目安
はじめに3分
Focus On / Focus Off15分
Timeline25分
KPT15分
SMARTな目標15分
+ / Δ5分
おわりに3分
合計81分
今回のレトロスペクティブのタイムスケジュール

作成したレトロスペクティブボードの全体像はこんな感じです。

で、でかい!

今スプリントのレトロスペクティブ全体像

Focus On / Focus Off

やり方については、割愛しますが、このワークは以前からやってみたかったワークでした。

理由は下記の2点です。

①言葉の定義を改めて再認識し、チームに共有することで認識のずれがないようにしたい
②ふりかえりのみならず、チームでやる作業については、例えば「主張」より「質問」を、「議論」より「対話」を大事にしてほしい

チームの中で共通認識を持つことが大切だと考え、まずは共通認識という意味で言葉の再確認をしてもらいました。

言葉というところはすごく重要だと思っていて、同じことを伝えたくても、言い方によって受け取られ方も異なります。同じ伝え方でも、受け取る人によって結果は異なる場合があるでしょう。

改めて自分の発する「言葉」や「文章」には、注意を払っていかなきゃなと改めて気を引き締めているところです。

実はこのワークの中で、もう1つの課題に取り組んでいます。

それは「チームを2チームに分けてワークをしてもらう」ことです。

全員で何かをやるときに、どうしても特定の人のみが会話をしてしまい、発言しないメンバーがいる傾向があることが悩みでした。

やはり私たちは”チーム”ですので、全員が会話に参加してもらいたい、それぞれの視点からの意見や思いを大切にしたい、そう考えたのです。

そこで、チームを2チームにして話し合いをしてもらったら、個人の発言量が増えるのではないかという仮説のもと、事前にこちらでチーム分けをして「Aチーム」「Bチーム」に別れて話し合いをしてもらうことにしました。

時間の都合上、各チーム1ペアの言葉について話し合っていただきました。

Aチームは「質問」と「主張」、Bチームは「対話」と「議論」について各チームで話し合い、その後全員で共有を行いました。

初めての試みなので、戸惑いもあるだろうということで、私の方でサンプルを用意しました。

レトロスペクティブの前に、実際に1人寂しくリハーサルをしてみたのですが、企画した自分でもやはり難しいワークでした。

やや心配だったのですが、メンバーの皆さんは少し戸惑いながらも一生懸命取り組んでくださいました。

Aチーム(質問と主張)

ふりかえりの中での「場を設ける」フェーズに当たる部分なので、あまり時間をかけるわけにもいかず、短い時間の中でのワークとなりましたが、Aチームの皆さんが頑張って意見を出してくださいました!

Aチーム「質問」と「主張」

実際にはこんな意見が出ました。

  • (質問)相手の考えを確認する
  • (質問)わからないことを確認する
  • (質問)分からないことを聞く
  • (質問)相手の話を聞くのか、(主張)自分の意見を話すのか
  • 目的が違う(「質問」は知りたい、「主張」は表明したい)
  • (主張)攻撃的
  • (質問)受け入れる・柔らかい
  • (主張)自分の考え、意見、信念を相手に対して伝えること
  • (主張)自分の意見を聞いてもらう
  • (主張)自分の意見の正しさを説明する

Bチーム(対話と議論)

Bチームの皆さんも頑張って付箋を書いてくれました。

並べ方にチームで個性が出ますよね^^

Bチーム「対話」と「議論」

実際は、こんな意見が出ました。

  • (対話)相手の考えを知りたい
  • (対話)仕事ではあんまりしない
  • (対話)決着を求めない(ゴールがない)
  • (対話)相手の考えを理解することによってコミュニケーションが円滑になる
  • (議論)お互いの意見を主張したい
  • (議論)仕事でよくする
  • (議論)ゴールを求める
  • (議論)意見を戦わせることでより洗練された意見にする

BチームはAIにも聞いてみたそうですよ^^

ChatGPTに聞いてみた「対話」と「議論」

AIの回答は下記となったようです。

対話とは、複数の人が意見や情報を交わし合うことです。

・意見の交換や情報共有が主目的
・相手の立場を理解し合うことが重視される
・互いの主張を押し通すことが目的ではない

議論とは、自分の主張を相手に認めさせることを目的とした、意見のぶつかり合いです。

・自分の主張を押し通すのが目的
・相手よりも論理的優位に立とうとする
・相手の意見を反論することで自説を正当化する

つまり、対話が「意見の交換」なのに対し、議論は「主張の争い」と考えることができます。対話よりも競争的な関係になりやすいのが議論です。

ChatGPTより

2つのチームを観察していましたが、普段発言が少ない人も発言していたように見えましたし、なんとなくそれぞれのチームでワイワイ話し合いが行われているように感じました。

この結果から、少人数のグループだと「それぞれが話さざるを得ない状況になるのかもしれない」ということと、逆に普段発言している人が喋りすぎている!?「自分が発言する隙間がない」から発言しない/できないという人もいるのかもしれないとも思いました。

働きアリの法則ではありませんが、人数が多いと「自分が発言しなくても成立しているからいいや」と思って発言しなくなる人もいるかもしれません。

総じて言えることは、話す機会があればみんな話せるんだ!ということです。

話すことに慣れてきてハードルが下がってくれば、発言量が増えるのかもしれない。

グループを分けてやるワークも上手く取り入れていくと、もしかしたらチームの発言量もバランスよくなるんじゃないかと思いました。

Timeline

さて、ここからがふりかえりの本番です。

Timeline全体図

あえてカレンダーやその他の情報を見ずに、思い出しベースで2週間のスプリントをふりかえっていただき、事実とその事実に基づく感情を合わせて付箋に書いてもらいました。

ピンクの付箋は「ポジティブな感情」、青い付箋は「ネガティブな感情」、緑色の付箋は「共有したときに出たコメント」を補記したものです。

うーん、俯瞰してみるとそもそもの付箋の総量が寂しめだし、ネガティブ要素が多いですね💦

前半がずっとネガティブで、後半から少しずつポジティブ要素が出てきています。そこにはチームの中でどういう状況の変化があったのでしょうか。

また、それぞれの付箋の内容から、次のKeep(続けること)やProblem(不満やリスク)につながる問いかけをすることができませんでした。もう少し掘り下げてみるような問いかけがあったらよかったなぁと思いました。

まだまだ時間管理しながら進行していくことに頭がいっぱいいっぱいで、そういった問いかけをしてあげる余裕がなかったです💦。

「もう少し回数を重ねていけば余裕が出るから」とコーチから励ましの言葉をいただきました。

うんうん、まだまだこれからや!めげずに経験値積み重ねていきます!

実は、レトロスペクティブを実施した後、もう一度自分でTimelineを復習してみました。

俯瞰してみると付箋の文字が読めないので、グルーピングやラベリングをすることで見通しが良くなったような気がします。

本番後にもう一度復習を兼ねて問いかけの練習をしてみるといいかもと思いました。

というわけで、レトロスペクティブが終わってから時間を見つけて復習をしてみました。

Timelineを復習

こうして俯瞰してみると、どうしても付箋の文字が見えなくなってしまいます。ふりかえりガイドにも書いてありましたが、当時テンパっていてやり忘れてしまった、グルーピングやラベリングをしてみました。

こうすることで、俯瞰してみたときに、付箋の字が読めなくても大体どんなことがあったのかを把握することができそうです。そして、そこから「全体的にタスク進捗具合のネガティブが多い」ことに気が付けました。ここは深掘りしておきたかったと悔やまれるところです。。

KPTからネクストアクション

Timelineでスプリントでの出来事を思い出してもらったところで、KPTにいってみます。

KPT

個人ワークで意見を出してもらい、共有するのをセットでKeep、Problemの順に取り組んでいただきました。

ここでは、個人の作業エリアを用意していったん個人で付箋を書いてもらうという取り組みをしています。

これは、あくまで自分自身で考えた意見を出してほしいのと、他の人と同じ意見になってしまうわないかを気にしないようにしてほしいという思いがあっての施策となります。

同じ意見があってもいいんです。同じ意見があるということも重要なのでね^^

KPT周辺に個人エリアを設置

さらに、共有については、「ラウンドロビン」という方式を採用しました。

順番に自分で書いた付箋を1つずつ貼って共有してもらい、もし同じ意見だった場合は、自分の付箋を同じ意見の付箋の近くに貼っていくというやり方でぐるぐる共有していってもらいます。

これは結構良かったというご意見をいただきました。

ただ、エリアがデカすぎるとのことで、そこは今後改善していこうと思います・・・

ドット投票

今回のレトロスペクティブで一番不評だったのが「ドット投票」でした。

ひとまず教科書通りやってみたのですが、重みづけで3種類の色があるのと、票数の取り扱いが難しくて最終的に素直にそれぞれ1票を持って良いと思うものに投票する形にしました。

改めて自分でもふりかえってみましたが、確かに難しいわ・・・

実際に作業できるのか、ここも事前にリハーサルしとかなきゃな。。

ドット投票

SMARTな目標

SMARTな目標は、なかなか難しくて、追い求めすぎると時間だけがすぎていく・・・

というわけでトライはするけれども、あんまり追い求めすぎずにある程度のところで切り上げました。

ここも何度もやっていかないと、なかなかSMARTな目標を考えるのは難しいところです。

最終的には、下記をネクストアクションとしました。

①2日以上動かないSBIは、必ず分解する
②SlackのcanvasにTODOを残して、DSで整理する(消す、残分の引き継ぎ)

①は、今スプリントは仕様の調査系のタスクが多く、見通しが悪かったこともあり、同時並行でSBIが進捗することが多かった印象です。 それもあって、このようなTryが出たんだと思います。 まぁ、おんなじような状況が今後発生したらやっていけるといいですね。

②は、リードエンジニアがみんなを引っ張っていく中で発生する細かいタスクを、業務終了後にやってくださっているといったようなことがありました。 それを受けて、みんなで分担できる施策を考えた結果、SlackのCanvasを使って共有し、DSで確認しながらタスクを分担しようというTryを考えてくださいました。

+ / Δ(プラス / デルタ)

くぅ〜💦プラスが少ない・・・厳しい評価をいただきました。が、改善できるところがまだまだあるということです。

めげずに頑張ります!

+ / Δ(プラス / デルタ)

プラス
  • みんなでラウンドロビン方式は良かった印象
  • 個人エリア自体は良かった
デルタ
  • タイムラインの前半を思い出すのが難しかった
  • 記憶がない
  • timelineを作るのに時間がかかってしまった
  • 個人エリアは大きすぎ
  • 個人エリアは小さくても良かった
  • 3種類のドットが難易度高くてやり方変えた
  • ドット投票わかりづらい
  • Focus Onがちょっとモヤモヤ
  • 左側の単語に留まるのがよく分からない

さいごに

いかがだったでしょうか。

実際にやってみると、まー教科書通りにはいかないっすね・・・。いただいたフィードバックから、まだまだ改善できる箇所がありそうなので、そこは次回に向けて改善していきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また新たな学びを得て、チームのプロセスがカイゼンされていきますよう、今後とも支援していきたいと思います。