InsurTech界隈でも導入が進むアジャイル開発の大黒柱であるスクラムマスター。
そんなスクラムマスターに求められるサーバント・リーダーシップについて解説します。
①パッと見の言葉のイメージ
サーバント ⇒ (意)召し使い。使用人。
・メンバーのために何でも言われた通りに粉骨砕身する人
・ウォーターフォールで言うところの痒い所に手が届くPMO
みたいなサポーターっぽい感じかな??
ふっ・・・冗談はよせ。
あくまでもリーダーシップスタイルのひとつであり、望む方向に人を動かしてチームとして成果出すための考え方なので、誤解なきよう。
②「権力」と「権威」
一昔前はリーダーシップといえば権力を用いたものというのが通例でしたが、世は令和。
タイミングがずれてるリーダーシップが何になる?
パワハラで訴えられる事に怯えて夜も眠れないあなたに必要なのは、権威を用いたリーダーシップ。
権力
たとえ相手がそうしたがらなくても、地位や力によって、自分の意思通りのことを強制的にやらせる能力
『どうせやらされるんだから黙って言う事聞きますよ。』
権力を使う場合はオブラートに包まないと(?)パワハラ。
言われた事しかやらなくなり、アジャイルが目指す自己組織化とは真逆。
権威
個人の影響力によって自分の意思通りのことを誰かに進んでやらせる技能
『あなたが言うなら、私にできる事は協力しましょう。』
強制ではなく私がやりたいからやるのです、という気持ちにさせる。
貢献する相手が身近に感じられて働きがいが向上していると言えるかも。
目標達成のために誠心誠意協力しようと思うので自己組織化に近づく。
宗教ぽいって??・・・そうかもね。
③私みたいな人間にも権威は手に入れられますか?
こんな『チームへの奉仕活動』を行う事が権威を生みます。
忍耐 | 不都合な現実も受け入れて、自制すること |
優しさ | 相手に注意を払い、慮り、励ますこと |
謙虚 | 虚偽や高慢さがなく、信頼できること |
敬意 | 他者を重要な人物として扱うこと(『相手』だけではなく第三者も) |
公平無私 | 他者のニーズに応えること(『相手』だけでなく第三者も) |
許し | 悪いことをされたときであっても怒りを捨てること |
正直 | 欺かないこと、見て見ぬふりをしないこと |
献身 | 自身が選択したことを貫くこと、諦めないこと |
・誰かにこういう振る舞いができた経験はありますか??
・チーム全体にこういう振る舞いをする事は大変そうだと思いますか??
→ 両方「Yes」の人こそ、チームを救い得るのである!
大半の人が二つとも「Yes」なんじゃないかと思います。
あとは大変さを理解しつつ、やるか・やらないか。
④結局、サーバント・リーダーシップって何なのさ?
敢えて言おう『愛』であると!!
いわゆる隣人に対する無償の愛、好き嫌いの感情ではなく相手を尊重し大事にする行動・振舞い。
仕事の中での『チームへの奉仕活動』がリーダーの権威を生み、それがチームへの影響力を醸成する、というリーダーシップスタイルでした。
⑤で、明日からは何をやれば良いの?
いつも通りScrumを運営すれば良いのです。
こういうエッセンスが自然体で取り込めるのが、Scrumの良いところです。
圧倒的じゃないか・・!Scrumは!!
何となく思い当たるプラクティスがあるのではないでしょうか?
例えば・・・
・デイリースクラムでファイブフィンガーを用いて全員の状況を確認したり
・ワーキングアグリーメントに掲げたルールに関連するものが挙がっていたり
プラクティスの背景を理解したことで『チームへの奉仕活動』のクオリティーが向上する事を期待して結びとします。
<参考書籍>
『サーバントリーダー ~「権力」ではない「権威」を求めよ~』
ジェームズ・ハンター(著)、高山祥子(翻訳)
海と月社 (2012/5/21)
会社でも家庭でも課題を抱えるマネージャーが修道院で1週間を過ごす事を決意します。
修道院での修道士の教えに感銘を受けて前向きな希望を持って現実に戻っていく、、、という小説仕立てでサーバントリーダーシップについて解説してくれます。
問題児が登場して修道士の教えに苦言を呈してくれて、それに修道士が応えてくれるので、ビジネス書を読んでいてよく感じるモヤモヤ感は少な目。
ただし修道院という設定上、キリスト教カラーが強いので苦手な方はご注意下さい。システム開発や保険の話は全く出てきませんので悪しからず。
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