はじめに
どうも、ヒロキングです。この記事はInsurtechラボ12月アドベントカレンダー18日目の記事でございやす。
今回は、自身3度目のレトロスペクティブ(スプリント16)のことについてお話ししたいと思います。
今回のレトロスペクティブは、ちょっとこれまでとちょっと違って、「心理的安全性の高いチームってどんなチームだろう」をテーマに、自分たちのチームの心理的安全性はどうなのか、そして心理的安全性の高いチームに近づくにはどうしたらいいのかを考えてもらうことにしました。
チームに感じている課題
私がスクラムマスターとして感じているチームの課題があります。
それは、「対話が少ない」ことです。ことアイデア出しのような場面では特定の人が発言するのみで、それ以外のメンバーはあまり発言が少ない印象があります。
私たちのチームでは、オンラインミーティングだとビデオオンにする人がいないので、オフラインのミーティングでは自然に受け取れる目からの情報を受け取ることができません。どういう表情で会話を聞いているのか、うなづきながら会話を聞いてくれているのか、不満でむすっとしているのかなど、表情から相手の心情を受け取ることができません。
だから直接聞かざるを得ないんですよね。ここにオンラインミーティングの難しさを感じています。
マイクもオフ状態が常で、全体に問いかけても誰もリアクションしてくれないなんてことが普通に起きている状態です。
これは、進行する側からすると結構しんどい・・・このような状況では、画面の向こうで「一生懸命考えているんだけど思いつかない」のか、「専門外で意見を出すのが難しい」のか、「やる気がないから答えないのか」「そもそもそこにいるのか」。きっと一生懸命考えてくれていると思うのですが、でもその確証をこちらから情報として得ることができないので、沈黙は不安に変わります。
ただ、そこに何か発言できない事情や発言しづらい雰囲気があるんだろうなと考えました。
そこで、理想のチーム像と現在のチームと、その差分について話し合ってみることで何か学びがあるのではないかと考えました。
理想のチーム像って?
当初、理想のチーム像ってなんだろう?と考えたのですが、理想のチーム像という壮大なテーマにしてしまうと収拾つかないと思い、テーマを絞ることにしました。
そして、「心理的安全性の高いチーム」とはどんなチームなのか、自分たちのチームの状態はどうなのか、心理的安全性の高いチームを目指すにはどうしたらいいかを考えてもらうことで、チームに感じている課題に一石を投じることができないかと考えたわけです。
心理的安全性の高いチームってどういうチーム?
というわけで、まずは理想像である、「心理的安全性の高いチームとは?」をメンバーに考えて付箋に書き出してもらいました。
- コミュニケーションがうまくできる
- 透明性が高い
- 技術レベル高い人がいる
- 困った時に助けてと言える
- 自分の考え意見が尊重される
- 促されることなくコミュニケーションが行われている
- コミュニケーションをとることに対する精神的負荷が少ない
- 過度に褒めあったり肯定しあうだけの馴れ合いにならず、アイデアや対立意見を出せる
- 特定の人間に対してヘイトを向けるようなことがない
- 個々人のパーソナルスペースを尊重する
- (肯定される)意見を述べること、行動することが肯定される
- 言い出しっぺが損をしない(言ったやつがやれよにならない)
- (否定されない)意見を述べても拒否されたり、攻撃されたりしない
- (失敗できる)失敗を学習の機会と捉え、チームにフィードバックして次の改善を目指せる
- 予定通りに進まなくても萎縮しない、解決のための方法をチームで考える
- (個性の許容)個性の均質化ではなく多様性を許容する(我々はPGを生産する兵隊ではない)
- 発言する際の相手のリアクションに対する不安が少ない →全員が堂々と発言できている
- お互いを褒め合える
- 一人の意見だけが強くならない
- 現状の変更を恐れない →変更するコストが自分だけに背負わされない
- 一人に押し付けない
- 相手の意見を肯定的に受け止めるところから話し始める
- 対案は相手の否定ではないというコンセンサスが取れている
- 案の採択だけでなく複数案のマージを目指している
- (個人的)参加出来ないタイミングがあっても、課題次第で適宜合流出来る
- 慣れあいと、お互いの尊重との距離感覚がとれている
- 見当違いな意見かな…と思いつつ発言しても否定されず、本質的に求められている意見のあたりに軌道修正が出来るようなものにチューニングしてもらえる
- 「間違っていた」際にも、「もっとこうやると良くなる」から、一緒に頑張ろうぜ的な鼓舞出来る関係性
- ウェブmtg上での独特の「間」の使い方が意外と小慣れてきている(心配にならない)
今のチームの状態って?
今のチームの状態はどうでしょうか。メンバーに今のチームの現状を付箋に書き出してもらました。
- 話しやすい
- それぞれの視点を大事にしているかな
- 言いたいときに言いたいことを言えているので話しにくいという雰囲気はない
- コミュニケーションを強要されてる感はある (馴れ合いに寄りすぎている感)
- 議論の盛り上がりとコミュニケーションは割と切り離されてるかな(いい意味で)
- 言ったこと、やったことを拒否されることはない
- 逆に過度に受け入れ過ぎている気配。つまり、対立意見を議論できていない可能性
- 「失敗は学習の機会である」を言葉としては理解していても、そのマインドになっていない。つまり、失敗したくない、怒られない(怒る人はいないけど)マインドが優勢
- 問題が起きたら、みんなで共有して解決しようとしている
- リアクションが少ない(ヒロキングさんがよく言ってる)
- 初学者の質問にも足蹴にせず説明してくれる
- 怒る人がいない
- (個人的)話についていけず会話に入れない時がある
- 会話を回す人が固定的になりがち
- 現状で否定されることも萎縮することも特にないと思う
- わからないトピック、他のことに気を取られている等で話すことを疎かにしてしまう時がある
- 話が活発であることへの温度感には差があると思う
- 否定や、攻撃などクリティカルな安全性の危機はない
- リアクションが少ない中での、一人喋りは不安になることはあると思う
- (知っていろよ的なことに関しても)知らないことを聞くことに対して、ハードルが高くて萎縮することはない
- (いいことか悪いことは別として)全体的に優しい雰囲気はある。敢えて、攻撃的な役回りを入れる必要はないが、盛り上げ役的な立場の人がいると安全性ってどうなるのか気になる
理想と現実の差分てどうなんだろう?
理想と現実がわかったところで、その差分についてみんなで考えてみました。
- 沈黙を破る方法がない
- 意見を戦わせることが少ない
- お互いを褒め称えるとかはないかな。(感謝するとかはあるけど)
- 議論の場での沈黙を気にしている人が多い
- ネガティブ意見が多めなのは心理的安全性がまだ低いから?
- 対立意見で議論を戦わるよりも回避を選ぶかも(議論じゃなくて、投票するとか)
- 某○○が喋りの場を支配しすぎる
- リアクションが常に返ってくる心理的安全性はまだ?
- 一人だけ喋っている時は多いかも
- 否定されないと分かっていてもなんとなく気を遣ってしまう時がある
- 自発的なコミュニケーションと積極的なコミュニケーションの認識のズレ
- ガツガツ踏み込んでいっても、攻撃的に感じられずに「活発」と当事者間で思えている状態
- リアクションが多少返ってこなくても不安にならない感覚
ネクストアクション
これに対するネクストアクションとして、チームに意見を出してもらいました。
- コミュニケーションの認識のズレについて話してみる
- 沈黙があったとき、6つ数えてから話始めてみる
- ファシリが奪われたとき、6つ数えている隙に取り戻す
- コミュニケーションタイプのすり合わせをする 沈黙=同意とか決める?
- 沈黙は否定ではなく意見が思いつかないだけ。気にせず進めてみる
- 沈黙の空白は無理に埋めなくていい。恐る必要なない。むしろやっと落ち着いたぜと思えるマインド
- ⭐️同意の沈黙か、シンキングタイムかは分かった方がいいかも
- 踏み込んでいっても、攻撃的に受けとめられない/リアクションなくてもOKと思えるには 意識的なアイスブレイク設計などで、お互いを知っておくことが、許せたり、納得できたり、テンポよくやるために緩く作用するかもですね
というわけで、「同意の沈黙か、シンキングタイムなのかはわかるようにしていこう」ということで、最後はドット投票でネクストアクションを下記のように決定しました。
- リアクションが欲しい時には「リアクションください」という
- アイコンとかで反応
- 「リアクションください」がなければ同意の意味
さいごに
最終的に決まったネクストアクション、正直、個人的にはやや不満が残ります。
なぜなら、結局会話のキャッチボールができていないから。ファシリから「リアクションください」がないとなんのリアクションもしてくれないのかな、自然発生的な会話は期待できないんだなと思ってしまいます。
とはいえ、全員で決めたことです。「この場で合意したものは必ず守る」ということがふりかえりの鉄則。全員でやってみてまたふりかえってみればいいんです。
うまくいかなければやり方を変えてみればいいんです。
と、そんな風にチームの雰囲気が活気付くことを願いつつ、このネクストアクションの行方を見守っていきたいと思います。