企業理念を自分たちの手に取り戻そう!!_社内へのアジャイル展開に向けて

この記事はInsurtechラボ2022アドベントカレンダーの3日目の企画として記載しています。

Agile Japan2022の講演での気付き

ちょっと遅くなりましたが、2022のアジャイルジャパンの感想・気づきです。

ナビタイムジャパンさんの講演の中で、自社の標榜している価値観とアジャイルが合っていたという話を聞きました。テック系の企業なので、会社の理念がもともとアジャイルっぽかったんだなぁと聞いていたのですが、その後の東京ガスさんの講演でも同じく「経営理念がアジャイルとあっていた」という話があり、東京ガスさんみたいなトラディショナルな会社でもあっている??ということで自社の理念についても改めて確認してみました。

 恥ずかしながら私は20年近く働いているのに、自社の企業理念を覚えておらず、携帯している社員証に書いてある理念を見てみると、びっくり。まんまアジャイルの価値観でした。

ざっくり書くと「価値」「成長」「尊重」「貢献」みたいなテーマが理念なのですが、アジャイルマニフェスト12の原則でも、

顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します。

自己組織的なチーム/定期的に振り返り

彼らを信頼します

変化を味方につけることによって、お客様の競争力を引き上げます

アジャイル宣言の背後にある原則

と述べており、私の会社の企業理念とアジャイルマニフェストはかなり近しいことがわかります。

理念と現状

なぜ、企業理念はアジャイルに近いのに全く、逆の道を行くのだろう?探索的な動きをせず、ルール化/リスク低減/問題の再発防止にこんなに注力しているのだろう?非アジャイルマニフェストみたいになってしまっているのだろう?

私の業務は「保険系」の金融ど真ん中のプロジェクトが多いため、巨大なプロジェクトが多く、『大きなプロジェクトをリスク少なくサービスインすること』が重要となります。

こけないように「大規模な運営をしっかり回せるプロジェクトマネジメント」「ユーザー部門と対等以上に調整できる業務知識」「リスクを低減するアーキテクチャ・システム運用」が今まではKSF(Key Success Factor)になっていました。そのため、そういったプロジェクトマネジメントスキル/業務知識を重視していたと思います。

リスクの低減が『価値』であり、大規模を回せる一部メンバーのPM/業務ノウハウが『成長』であり、なるべくお客様が言うことを『尊重』することが『貢献』である。

といった形で、今「やっていることが正しい」とどんどんとノウハウや文化を深化してきたと思います。結果、理念等考えなくても一定のレベルで仕事が進められるようになってきました。

一方でここ10数年で一気にVUCAの時代に突入し、正解が分からない中、技術のスピードが本当に早くなっている中、今までのやり方では限界を迎えてもいます。リスク低減を意識しチャレンジしないこと自体がビジネス上の大きなマイナスのリスクになっています。

会社はQCDの安定性を追及している中、PMBOK7版では価値基準で変更になったりと、世の中から遅れだしています。そういった中での進め方が企業理念の「価値」「成長」「尊重」「貢献」と合わなくなっていると感じます。

企業理念を自らの手に取り戻そう!

我々は変化しなくてはならない状況にあります。一人ひとりの変化もですが、組織としての変化が必要です。変化に対しては恐怖があるため、変わらない北極星はとても重要だと思います。

今までと変わらない「企業理念」が実は変化のための北極星となるのではないでしょうか。アジャイルを進めるということは、企業理念を目指すことと大きく違いはないと思います。

アジャイルで言うと、現在はスクラムのフレームワークが一般的だと思いますが、今後何年後かに新しいフレームワークがデファクトスタンダードになるなど変化はあると思います。ただし、「価値」「成長」「尊重」「貢献」といったテーマはおそらく変わってないと思います。こういった理念を目指し続けることで、その時その時の時代の状況に合わせ柔軟に変化するヒントになるのでは?と思えました。

普段こういう仕事をしていると、何らか組織でモヤモヤしたものを感じることも多いですが、そんな時は、企業理念と合っているかどうかで判断しながら、嫌なものに対しては嫌と言っていきたいと思います。