インタビューリクルートでビッグファイブ理論を試してみた

本記事は、2023年6月アドベントカレンダーの17日目の投稿です。InsurTechラボでの活動を通して、デザイン思考や仮説検証アプローチについて学んでいます。仮説検証では、どんな状況のユーザーなのか?どんな課題を持っているのか?・・・等を仮説立て、それを検証する手段の1つとしてインタビューを多用します。インタビューにあたっては想定したインタビュー対象者(以降、インタビューイ)を如何にリクルートしてくるかも重要な要素の1つなのですが、特に性格や価値観に照らして対象者をどうやって見つけ出すのか?、というのは頭を悩ます1つです。そこで今回のテーマは、インタビューイのリクルートに「ビッグファイブ理論(人の性格因子を5つに分類した性格分析理論)」を活用できないか試行してみたので、記事にしてみました。

はじめに

きっかけとしては、息子がYoutubeで知った性格診断テスト。ママもやってみてと言われて試してみると結構当たっているなぁという印象でした。そんなタイミングでインタビューイを探すためのアンケートを考えるタスクを担当することとなり、性格診断を活かせるか?という視点で考えてみることにしました。
検討するテーマに対していくつかのセグメントがある中で、インタビューイが仮説として想定しているセグメントに当たる人なのか、もし仮説と異なった時に結局どのようなタイプの人だったのかを考えるときの1つの判断材料ともなり得るように検討したいと思い、まずはどのような性格分析理論があるのかリサーチしてみることから始めてみました。

ビッグファイブ理論とは

リサーチの結果、性格診断のベースとなる性格分析理論は色々あるようでしたが、今回は「ビッグファイブ理論」で試行してみることにしました。
ビッグファイブ理論とは、人の性格因子を「①開放性(Openness to experience)」「②誠実性(Conscientiousness)」「③外向性(Extroversion)」「④協調性(Agreeableness)」「⑤情緒不安定性(Neuroticism)の5つに分類(ビッグ・ファイブ・パーソナリティ)しこれらの組み合わせにより性格を導き出すもので、心理学者のルイス・ゴールドバーグ氏が提唱した理論とのこと。5つの頭文字をとって「OCEANモデル」と呼ばれる場合もあるようです。心理学的にも信憑性が高いとされているらしく、心理テストや企業の人材採用試験における性格診断等でも活用されています。(ビッグファイブを利用した性格診断テスト例:【診断ツール】ビッグファイブの質問と回答の入力 (questi.jp)

5つの因子
「保守的」な傾向
・安定志向・現実的・変化を嫌う等
開放性
新しい経験・チャレンジへの反応を示す因子
「創造的」な傾向
・感受性豊か・チャレンジング
・行動が予期できない等
「直観的」な傾向
・柔軟・自由奔放・アドリブが効きやすい・ずさん等
誠実性
セルフコントロール・責任感に関する因子
「熟考的」な傾向
・自己抑制力が高い・集中力が高い・強情・しつこい等
「内向的」な傾向
・遠慮がち・思慮深い・冷淡・人見知り等
外向性
コミュニケーションの取り方を示す因子
「外交的」な傾向
・社交的・環境の変化に強い・
野心的・強引・目立ちたがり
「孤立的」な傾向
競争心が強い・理論好き・理屈っぽい等
協調性
組織内でのポジショニングを示す因子
「調和的」な傾向
・思いやりがある・周りと歩調を合わせる・ナイーブ等
「論理的」な傾向
・落ち着きがある・プレッシャーに強い・周囲の変化に無頓着等
情緒不安定性
ネガティブなことに対する反応を示す因子
「直情的」な傾向
・すぐに対応する・危機管理能力が高い・安定感に欠ける・感情的等

【参考記事:以下の記事を参考に上記表に加工・編集】
ビッグファイブ(特性5因子)とは | 就活応縁くまもと「しゅーくま」 (shukatsu-kumamoto.com)

試行プロセスについて

今回のテーマは保険購入。保険購入の手段は色々ありますが、保険相談して購入する人、相談せず自分で情報を調べて入る人について、ユーザー属性を広く抑えつつ、想定した対象者をアンケートで如何に拾うか、という観点でどうやって進めようかと考えました。やってみた流れは以下のとおり。

①保険の購買行動からタイプを洗い出す

以下のような形でツリー上に、保険相談して購入する人、相談せずに自分で調べて購入する人で、どのようなタイプの人がいるのか洗出しを行いました。
(ツリー分解もちょっと浅すぎたし、各付箋を書き出す軸もよく見たらブレブレでした…)

②ビッグファイブ理論の5因子をマッピングする

先程のツリーから導き出された各タイプについて、どういう性格因子が影響することでそういう行動行動に至ったのか、マッピングしてみることにしました。性格因子は5つあるので、どの因子なのかと、その高・低をざっくり当てはめてみるイメージです(このように可視化した上でタイプをツリーの枝に沿って見てみると、どういう性格因子の組み合わせでタイプが形成されているのか、少し解像度が上がったような気もしました)

③性格因子に応じてよく取るであろう行動をアンケート項目化していく

マッピングした性格因子を持つ人はどういう行動を取りやすいのかアンケート項目に仕立てていきます。各因子に例えば2個ずつアンケート項目を作り、アンケートの回答者がどの因子の組み合わせが強くでるのか評価して、保険の購買行動タイプのどれに当てはまるのかを照らし合わせることができないか、というイメージです。

試行してみての感想

結果としては、性格因子(変数)が多くてアンケートの回答結果から適切にタイプを判別評価するのが難しそうであるとか、逆にビッグファイブの性格理論に引きずられ過ぎてしまうのではないか、、等の意見もあり、このやり方でのアンケート検討は上手くいかなさそうという結論となりました。
ただ一方で、今回の試みを通して、ユーザーを理解する1つの知識として、こういった人格を形成する因子や傾向を知識として持っているか/否か、というのは重要であるとも感じました。これまでは、「〇〇な人」ってどんな人だろう、という議論となったとき、これまでの自分自身の過去出会ってきた人の中の範疇でそのイメージを持って語ることが多かった気がします。それはそれでよいのですが、もう少し客観性を以ってユーザーを捉えていく技術なるものを、今回の試みを通して自分のものにしていきたいなという気持ちも強くなりました。
今回はまだまだ不完全な取組みとなりましたが、今後深めていければと思います。