仮説キャンバスを利用して、調査・アイデア発想を効果的に行う方法

この記事は、Insurtechラボ202306アドベントカレンダーの16日目の投稿として書いています。現在、InsurTech研究所の取り組みとして、新たな課題の探索や解決策の検討(プロダクト開発)を実施しています。効果的に行う方法がないかメンバーと日々頭を悩ませているのですが、試した内容から上手くいったことを共有したいと思います。
 プロダクト開発の中でも特に、調査やアイデア創出のブレストがうまく進まないという悩みを抱えている方の参考になれば幸いです。

検討に「ひたすら時間がかかる&時間をかけても終わらない」問題

 プロダクト開発では、ユーザーや競合の理解や、自社プロダクトの仮説設定のために検討を行うと思います。
 検討を進めるにあたり、「時間をかけているのに終わった感がない」ということはありませんか?特に下記のような事象が起こっているならば、それは危険サインかもしれません・・・。

  • スタートした調査や検討が終わらない
  • ゴール設定を行っても、ゴールに到達したことをメンバーで確かめられない
  • どんどん新しい論点が生まれて、検討のサイズが肥大化していく

 上記の状態になると、振り返ることができず、軌道修正のタイミングを失って前進するしかなくなることで、悪循環に陥ってしまいます。
 特にプロダクト開発におけるスキルに乏しいメンバー(私たちのことです。。)が進めるにあたっては、自身の活動を細かく改善しながら進めることが大事であり、そのために小まめに活動の節目を設けることが必要であると思います。

 私の過去の経験からも、同様の事象に陥ったことがあります。検討が肥大化を繰り返したため、様々な成果が複雑に絡み合っており、苦労の末やり遂げたはいいものの、成功したのか失敗したのかよく分からない状態になってしまいました。
 突っ走ってしまった結果、振り返ることができず、次の検討でも何度か同じ道を歩んでしまいました。。

効果的に調査・アイデア発想を行うためのヒント

 では、どのようにして短期間で調査・検討を行うことができるのでしょうか?私たちは仮説キャンバスの構造を検討の鳥瞰図として利用することにより、作業を細かく分けながら進めています。
 まだまだ試行中ですので、ご覧いただく方には当たり前のような内容かもしれませんが、共有します。

ご紹介する内容は「仮説キャンバス」を利用することを前提にしています。
仮説キャンバスってなに?という方がおられましたら、ぜひ以下の記事もご覧ください!

1.目的を「絞って」取り組む

 調査やアイデア発想が長引いてしまいがちな時は、仮説キャンバスのエリアを利用して、目的を絞るのが良いです。「新規プロダクト開発のため、他社プロダクトの調査を行う」ことを題材に解説します。

う〜ん・・・な、事例

 「他社プロダクトの内容はどのようなものなのか?」といった曖昧な問いから、とりあえず検討をスタートさせるようなケースです。仮説キャンバスに当てはめると、左半分をカバーするような問いになっています。
 調査目的に一致していればいいですが、調べたいこととあっていないなら、無駄な労力をかけてしまうことになります。チームメンバーで分担して調査する場合は、調査観点のズレにも繋がるかもしれません。

「問いが曖昧で、調査が終わらない・・・」の図

いいね!!!な、事例

 グッと観点を絞り込むことがおすすめです。「他社プロダクトはどのような実現手段を用いているのか?」と問いを立てる感じです。絞ることにより問いにストレートに答えることができ、次に進むための判断が下しやすくなります。
 調査を開始する前に、仮説キャンバスを手元に用意し、どこのエリアを埋めるための調査なのか?ということを確認してみてください。
 絞り込むことと合わせて、調査を終えた時に、次に行うことが何かをイメージできていると尚良いと思います。(2に続きます)

「問が明確で、集中して調査できるぜ!」の図
2.調べる・考える「順序」を設計する

 1.のポイントと合わせて、次に行うことが定められていると良いです。作業の繋がりを考えておくことにより、それぞれの調査目的をより意識することが可能です。
 私たちは、仮説キャンバスの各エリアをどの順序で埋めていくか?を事前に考えておくようにしています。順序の設計は仮説の一本線(下記の図)を順に埋めていくことを意識した上で、そのテーマを考えるメンバーが進めやすい順序にアレンジするのが良いと思います。

課題の一本線・・・顕在/潜在課題 → 代替手段と不満 → 提案価値 → 実現手段

1.の事例で考える

 1.で例示したケースの続きで考えます。他社に負けないプロダクトを作るために、自社の優位性を考えるたいので、他社調査を行う際は、顧客の課題がどこまで解決できているか?を知りたいです。
 そのために、下記のような順序でターゲット顧客とその顧客が持つ課題にたどり着くことを目標とします。そして、順番に調査をやっつけていきます。
 正解の分からないを調査・検討する際に、計画をきっちり立てることに抵抗感がある方もいると思います。ですが、計画を守ることが目的ではなく、振り返って見直していくことを目的にすると価値があるのではないかと思います。(3に続きます)

既存プロダクトの調査のため、取り掛かりやすい実現手段から着手し、一本線を左から右に進むようにアレンジ
3.ふりかえって「大胆に見直す」

 調査や検討をやっつけていくごとに、適宜ふりかえりを行うのが良いです。先行で行った調査が現在の作業に繋がったか?足らない観点がなかったか?次に行う作業が開始できそうか?など、前後を見ながら確認するようにしています。
 仮説キャンバスを埋めながら作業を進められているのであれば、埋めたエリア同士の整合性をチェックしてみるのもいいかもしれません。(整合性の確認方法は、下記の記事をご覧ください!)

2.の事例を振り返った結果・・・

 ④・⑤を進める中で、今後新規プロダクトを検討できる手応えを感じなかったため、立ち止まって振り返りを行いました。結果、顧客体験の調査や理解が浅かった、また中長期的なビジョンをイメージできていなかったことが原因ではないか?という意見が出ました。
 その後、他社プロダクトの特徴を再度調査すると共に、顧客が気づいていない課題解決ができないか、アイデアを発散させるワークショップを企画して、軌道修正をかけました。
 例示が少ないため分かりにくいと思いますが、、、違和感がある時に立ち止まってメンバーでこれまでのプロセスを振り返ることが重要だと感じています。

②をやり直して、⑥のアイデアを募ったことで、その後新規プロダクトのキャンバス作成に着手できることに・・・

まとめ

 いかがでしたでしょうか?計画して振り返るという、全くもって当たり前なことなのですが、プロダクト開発のようなゴールが未知なプロジェクトでは、意外と見失ってしまいがちではないかと思います。私たちも、毎回の活動を振り返り、失敗・成功の経験を発信していきたいと思います。

 ご覧いただき、ありがとうございました。