自動運転の実用化の状況を調べてみた

インシュアテックラボメンバーのむらかみです。

この記事は2023/6月アドベントカレンダー13日目の記事となります。

記事の投稿機会をいただいたので、「いろいろと調べないとなー」と思っていたいくつかのことをよい機会と思って調べていました。

その中で自動運転について調べていたところ、今年の4月からレベル4の認可が下りた自治体があるとのことですので、そちらの概要と課題などの観点について記載してみたいと思います。

自動運転の現状

「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(以下、「RoAD to the L4」)」について福井県永平寺町が国内で初めて認可を受けました。

https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230331002/20230331002.html

Cruise Self Driving Cars
実際の自動運転車両(リンク先画像の転載)

自動車メーカーのCMでも日常的に「これからは自動運転!」といった趣の内容が放送されているので、ようやく来たなという感じですが、

やはり課題がないわけではないですよね。

ざっと調べた感じですと、以下のような課題がありそうです。

①環境整備の観点

②個人情報保護の観点

以下、それぞれについてまとめてみます。

①環境整備の観点

15,6年前だったと思うのですが、新幹線のスピードでは在来線に比べてブレーキをしてからの走行距離が長く、事故を起こす可能性が高いという話をどう解決したかというのを何かのテレビ番組で見ました。

同じような内容の記事がありましたので引用しますが、要は新幹線のスピードを維持しながら、事故を未然に防ぐ場合、「ブレーキング性能の向上」よりも、新幹線の高架橋を作り、カーブ半径を4000m以上取るなどの「走行環境の整備」が重視されたというのが印象的でした。

https://trafficnews.jp/post/79402/2

考えれば当たり前のことですが、AIやクラウドについても構想自体は昔からあり、ハードウェアがそれに追いついたことで実現、普及されるという点で、「今ならば実現できるかも?」と考えることの重要性を教えてくれているように思えます。

自動運転の場合、永平寺町の事例では路面に電磁誘導戦やRFIDを埋め込むという環境整備が行われています。

また、すでに実用化されているレベル2のハンズオフは高速道路での利用が前提なので、その点でも「どこなら使えるか」の判断が前提にあります。

https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf

②個人情報保護の観点

個人情報保護法の第二条にある通り、「「個人情報」とは、生存する個人に関する情報」なのですが、自動運転においてカメラで記録された情報も個人情報に該当します。

https://www.sbbit.jp/article/cont1/58540

(ちなみに、個人情報保護法は「個人」を「情報」から保護するという主旨あるため、引用元記事内では、個人情報保護とプライバシーの権利とを混同してしまっている可能性があります)

データの管理などサーバ側のセキュリティ面の考慮などはシステム開発に携わる方からすると当たり前のことだと思われます。

ただし、引用元の記事では、たとえばカメラに偶然映ったひとが「自動運転においてカメラで記録するのであれば許可をとってほしい」「自分の情報が自動運転のカメラで記録されたはずなのですべて開示してほしい、あるいは使わないでほしい」などの要望が出る可能性があることを指摘しています。

ここに対して、「個人を特定できない」、「人の情報より命が大事」、「全員から許可をもらうにはどうすればいいか」という点で攻めると非常に筋悪となってしまうと思われます。

どちらかというと「個人情報保護とプライバシーの権利を混同しない」、「個人情報を目的内で利用する」、「データコントローラーが責任を取る」、「記録を伴わない自動処理を拡張する」、「2000個問題を(少しでも)整理する」などのキーワードで課題解決を試みていく必要があります。

ただし、本記事で上記に触れると分量がすさまじいことになるため、その点は産業総合研究所の高木浩光氏などがまとめられているので引用にとどめておきます。

終わりに

自動運転の普及には車両自体の技術的な課題が少しずつ解決されている印象ですが、道路などの環境整備、個人情報保護などの法整備的な観点も加味してみていくとまた違った発見があると思います。

保険にかかわるシステムを開発する私たちにあっても上記の整備に関連して新たなサービスを考えていくのもよいかも。

以上、ここまで読んでくださりありがとうございました。