【VR未経験エンジニアがメタバースでのWEB申込を実現するための挑戦】シリーズの第8弾として、保険のWeb申込システムをPoCしていたチームが、メタバースプラットフォームのCluster上にWeb申込画面を再現する取り組みを記事にまとめていきます。
前回の記事はこちらです
今回の記事について
4月から6月末に実施したVR開発をふりかえってタイムライン形式でまとめました。
また、学びや気づきを得るためにオリジナルの振り返りを実施し、プロダクトに対して次やるべきことやVR開発に関係なく、今後に活かせそうなアクションを抽出しました。
VR開発のタイムライン
2週間を1sprintとしVR開発を進めていきました。
スプリント毎に設定したゴールを達成するための取り組みを以下にまとめました。
スプリント1
スプリント1では、実装開始の前段階として以下のゴールを設定しました。
- チームメンバーでVR知識を収集して、チームメンバーがVRが楽しいと思えるようになり調査継続か実装に入るか対話が始まっている
2週間取り組んだ結果、「メンバー全員楽しいと思える状態になり、次の画面の実装に入ることにチームで決定したため」ゴール達成としました。
このスプリントでは、VRならではの付加価値を実現するために、VRについて開発者内で理解を深め自分たちが6末に向けて実現したい価値を探すスプリントとなりました。(結局今の我々には見つけられませんでしたが…)
このスプリントでVRやメタバースへの解像度が上がりました。
達成
未達成のPBIもあったがMVP作成に必要な技術を調査しはじめており、今後の方針として個人情報入力画面をCluster上で再現していくという決定が開発者内でできているため達成と考えました。
(開発者の中で決めている状態なので、レビューテーマのところでPO含め、方向性を確定させたいです)
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メタバースに挑戦した経緯と始めるにあたって決めたこと
スプリント2
スプリント2では、以下のようにスプリントゴールを設定しました。
- 目指すべき6末のプロダクトの状態が何になるかの解像度を上げるために、バージョン1開発を通じ、VRで何ができるか、何ができないかがわかって、少しでも動くインクリメントをレビューに出す
- 6月末リリース計画がステークホルダーに提示できる
実際に手を動かし始めたことで、Cluster開発ならではの要素や制約について知っていきました。
わからないことを調査し、一つ一つ出来るようになっていく体験がとても楽しかったです。
最終的に個人情報入力画面が作成でき、6月末向けたリリース計画もできたため、ゴール達成としました。
達成
このスプリントでは、過去に作成した保険のweb申込画面をVRで再現することにトライし、Clusterのコンポーネントを組み合わせてVR画面をどう実現するか整理ができました。
また、VR開発で得たケイパビリティを元に6月末に向けた計画立てを行いました。(計画は下記画像参考)
スプリント3
スプリント3では、以下のようにスプリントゴールを設定しました。
- 保険選択機能のVR版開発で何に集中すると気付きを挙げられるかが合意できた上で、わかったことが挙げられている
- WebダイレクトユーザとVRヘビーユーザからのフィードバックを得られるための準備ができている
最初にやるやらを決めたことで、プロダクト作成に集中でき個人情報入力画面よりも早く作ることができました。
また、開発のナレッジをまとめたことで、これまでの学びが整理できHP投稿に向けた準備にもなりました。
達成
チーム内でやること/やらないことの認識合わせを行ってから、保険選択機能の開発を行いました。
また、VR開発をする上でわかったことの整理をしました。
次スプリントに行うインタビューに向け、聞きたいことの整理とインタビュースクリプトの準備をしました。
スプリント4
スプリント4では、以下のようにスプリントゴールを設定しました。
- 新技術選定や適用を試したい人に対して、短時間で検討する際の活動方法の参考になっている状態
- VR上の保険申込体験を作るにあたり、実現したいこと(ビジョン)または、試したいこと(価値を探索したいこと)が見つかっている状態
概ね達成だが、一部未達。
4月〜6月までの取り組み(新技術を触る上で試した活動内容)をHPに投稿し、LabのメンバーからFBをいただいた。
実現したいこと(ビジョン)または、試したいこと(価値を探索したいこと)を見つけるために
現行のメタバース関連技術を用いて(Clusterで)Webで実現できている保険申込機能を開発した場合、そのユーザビリティ(UX全体)はいかほどのものかVRヘビーユーザーと保険のWeb申し込み経験者にインタビューを行いました。
インタビュー結果を分析し、新しいインサイトを見つけることはできたものの、スプリント内で分析しきることができず未達となりました。
見つけることのできたインサイトは以下です。
VR開発についてのふりかえり
ふりかえり手法について
最初はFunDoneLearnのみで振り返りを行おうとしておりましたが、フレームによって、観点が異なり意見が出やすい出にくいことがあると知りました。
そのため、今回FunDoneLearnにProblem+Tryを追加したオリジナルのFDLPTフレームを作り網羅的に振り返りを行いました。
参考:OODAふりかえり
ふりかえり結果
FDLPTから抽出した結果について深掘りを行った結果、今回の我々の取組みに対してのインサイト・課題がいくつか挙がり、次に活かすためのActionをチームメンバー全員で対話しました。
Probrem(課題)
- チームビルドの時間を取っていなかった
4月からこのチームに2名新規の参画者がいましたが、その人たちに向けたチームビルディングが十分にできていなかったことによって新規メンバーの発言機会が少なくなってしまったり、意見出しをするメンバーが固定化されてしまうことがよくありました。結果として、発言者の作業負荷が高くなるようなことが続いてしまったり、新規メンバーの良さが活かせなかったという問題が起こりました。
・チームビルドの時間が取れなかった
・チームビルディングが不十分な結果、特に最初のチーム作業の進め方に影響があった。
・チームがうまくスクラムを進められてるか?に対しての目標を設定する
・発言しやすい環境・関係性の構築手法の学習
- 期限が決まっている中で、どこまでに何を作ろうとしているか決めてなかった
計画をリードする人がおらず、1Q(6月末)までにどこまでやろうとしているか誰も答えられなかったため、スプリント1でどこまで作るのか目処が立てられてない状態となってしまいました。
・インセプションデッキの期間を見極めるをやっていなかった
・期間全体のゴールって必要だよねを訴えたい
・一番最初は何もわかってなかったからいいけど、スパイク終わってからは計画立てれたはず。。
・スコープがあいまいになってしまった
・プロジェクトを積極的にリードする人を決めておく
・インセプションデッキを最低限やれるところだけでもやっておく
- UI/UXに明らかな問題があることが分かっていたのに手を付けられなかった
最低限のUI/UXについて、チーム内で合意されないまま担当者に一任されてしまったことにより出来上がったものの仕上がりが良くない状態になってしまいました。(明らかに大きすぎる、色が変、等)
チーム内では作っている段階で何となく気づいてはいたのですが、UI/UXは最低限にする、ということを言い訳に放置してしまったことが原因でした。
・最低限を言い訳に何も考えてなかった
・みんな変なの気づいてた
・やらないことのレベルが具体的になってなかった
・サイズや色感など、あらかじめ最低限のデザインルールやテーマについて議論しておく
・「最低限」の定義を明確にする
Fun(良かったこと)
- LT大会いろいろ意見が聞けて楽しかった
他のメンバーがどんな事やってみたいと思っているのかを知れ、自分の中にはないアイデアを聞けたためVRをやっていくというテーマに決めることができました。
・勉強になったり、会話のきっかけになったりでおすすめできるメリットが多い
・LT自体はチームビルディングの一環として実際やったらいい
・チームビルディングも兼ねて定期的にLT大会をする
- 制約の中での開発は楽しい
情報入力があまりない世界でいかに情報入力するかというチャレンジすることで、開発面での課題解決ということでチームに一体感が生まれました。
・記事で制約について出したけど、やってみたら楽しかったよと言えたらいいな
・苦労したけど楽しめたってのがいいかも
- 我々の記事をラボメンバーが読んでFBをしてくれて嬉しかった
思っていたよりも多くのフィードバックを貰えて、チームでの情報発信について前向きになりました。
・やったことに対して認めてもらえたFBがあって、やってきて良かったと思えたため
Learn(学び、わかったこと)
- 解像度が荒いときは、とりあえずものを作ってみて考えることが大事だとわかった
やらないとわからないことでも計画に時間をかけてしまうことが多かったので、やってみないとわからないことは、計画に時間をかけるよりもとりあえず先にやってみて次のアクションを考える方が早いこともあるとわかりました。
・誰も経験がない状態で計画だけ進めるよりは、まずは小さく作ってみるという教訓
・だんだん想いが強くなるが、新しい技術などは仮説に時間かけてる間にまずは触って仮説したほうが早く進むのでは?
・実際に何か作成してみて、価値に気づけたので、仮説が立てられないなら早く手を動かしておくべきだったと思ったから
- ただ再現するだけでなく、VRならではの機能を考える必要があることが分かった
申込画面が再現できるかも分からない状態でユーザからの観点が抜けていたため、再現するだけですごいと思っていたが、それだけではユーザは嬉しくないということがわかりました。
VRならではの機能を考えなけらばならないという学びになりました。
・VRの特性をちゃんと意識したうえでインタラクションを考えてあげる必要があったかなとおもいました
・ただ再現すればいいというわけではなかったですよね〜
- Unityでの開発環境が学べた
Clusterでの開発経験をもとに、今後別のVRプラットフォームでの開発をすることになっても、基本の使い方が理解できているのでスムーズに開発ができると思いました。
・草の根的にでもやっていける下地ができたんじゃないか(次につながる)
・これまでeclipseやVSCodeしか触ったことない人にとっては新鮮な経験になったんじゃないかな
まとめ
前述のふりかえりとは別に各自の成長を確認するために、VR開発前後の気持ちの比較を行うワークを実施しました。この結果、VR開発に対してふわっとしたイメージだったものが、具体的な作成イメージを持てるようになったという意見が多く、開発メンバーのほとんどが成長できていると実感できていることが分かりました。
今回のVR開発を通じて、チーム全体が大きく成長し、具体的な作成イメージを持つことができました。初めての挑戦であったにもかかわらず、メタバース上でのWeb申込システムの再現に成功し、多くの学びと気づきを得ることができました。
これからもこの経験を活かし、さらなる技術革新に挑戦していきたいと思います。