アジャイル、スクラムの本50冊から選ぶお勧めのベスト10!!


保険システム業界でもアジャイル開発がメジャーになってきました。
インシュアテック研究所として、アジャイル進める上で参考となる書籍を50冊以上読んでみた結果、完全に主観でベスト10を選んでみました。皆さまのアジャイルの理解の促進のお役に立てれば幸いです。


なお、デザイン思考/仮説検証、組織運営/プロジェクトマネジメントについてのおすすめの本は、別の記事にまとめていますので、そちらも見ていただけると嬉しいです。

それでは、ベスト10の紹介です。

10位_XP エクストリーム・プログラミング入門

10位はアジャイルの源流とも言われるエクストリームプログラミング。だいぶ昔の本ですが、今読んでも色あせない内容です。スクラムを実施している方にも是非読んでいた抱きたい1冊です。

Kent Beck 著 、長瀬 嘉秀、飯塚 麻理香、永田 渉 訳

ピアソンエデュケーション (2000.12)

【概要/感想】 
アジャイルの始まりともいうべきXPの第1弾。第2弾と違い、価値がまだ4つです(コミュニケーション、シンプル、フィードバック、勇気)この本をきっかけにアジャイルが盛り上がったというだけあって価値の通りシンプルで勇気に溢れた本だと思います。

【印象に残った文章/内容】
XPが本当に受け入れられるかどうかは、現在実践されているソフトウェア開発に満足していない人々(あなたもそのひとりかもしれない)の手にかかっている。より良い方法でソフトウェアを開発したい。顧客との関係をよくしたい。より楽しい安定した環境と生産性の高いプログラムが欲しい。(中略) XPは物事を違う方法で行うことを教える。XPのアドバイスはそれまで善しとされてきた習慣や通念と、全く逆であることもある。(中略) XPはライト級で、優れていて、低リスクで、融通が利き、予期可能で、科学的で、楽しく行えるソフトウェア開発方法である。

9位_マネジメント3.0 適応力の高いチームを育むための6つの視点

9位は「マネジメント3.0」。題名からアジャイルの本と思いませんでしたが、読んでみるとむっちゃアジャイルでした。大量の文献や事例をまとめていて若干難しいのですが、じわじわと染み入る1冊です。これからのリーダーには必読の内容です。

Jurgen Appelo 、 著 藤井 拓 訳

‎ 丸善出版 (2022.7)

【概要/感想】 
複雑な状況下でのマネジメント、チームで成果を上げる方法をアジャイルの文脈を中心に解説/説明した本。思ったよりアジャイルエッセンスが強い本でした。かなりの文献の内容がまとめられており、非常に示唆に満ちた内容となっています。21世紀のマネージャー、アジャイル実践者には必読の本です。

【印象に残った文章/内容】
アジリティーは、絶えず変化する環境で成功に留まる事である。それだけだ。それでもそれに少し付け加えることがある。私は、すべての組織に対する最善のプラクティスが1つあると信じており、そして、それは、すべての組織に対してプラクティスXが最善であると主張するいかなる「専門家」も放り出すというものだ。

8位_アジャイルリーダーシップ

8位は、「アジャイルリーダーシップ」。9位のマネジメント3.0と合わせて読むと非常に理解が深まると思いますので、この順位にしました。

Zuzana Šochová 著, 株式会社ユーザベース 訳

共立出版 (2022.11)

【概要/感想】 
前作のスクラムマスターザブックの内容をより膨らませ具体的になった内容です。「心理的安全性・ティール組織・マネジメント3.0」といった要素がアジャイルの要素と混ざり、事例エピソードや開発だけでなく広くアジャイルを捉えたおすすめの1冊です。前述したマネジメント3.0と合わせて読むとマネジメント3.0の理解が深まります。

【印象に残った文章/内容】
変化は、押し付けてはいけません。育てましょう。 「育てる」アプローチは、言うは易く行うは難しです。必要なのは、優れたサーバントリーダーであること、カタリストのマインドセットを持つこと、そしてリーダーとリーダー型のアプローチをとって「私たち」の文化を成長させることです。

7位_エンタープライズアジャイル開発実践ガイド

7位はエンタープライズアジャイル開発実践ガイド。こちらは大企業やがちがちのウォーターフォール文化の会社でアジャイルを実施するときの理想と現実がまとまっています。私もがちがちのウォーターフォール人材なのでそういったメンバーがアジャイルをやろうと思うときに読んでおくと非常に良いと思います。

長瀬 嘉秀 著、伊藤 龍司 著、木村 泰久 著、杉浦 由季 著、長岡 晶史 著、松本 哲也 著
マイナビ出版 (2020.12)

【概要/感想】
レガシーなエンタープライズでアジャイルを導入する際の注意点が書かれています。単なる注意点でなく、ありがちなケースとどうしたらよいのかという点を本当に重厚に記載されており、かなりイメージアップできるとともに、「そうそう、そうなんだよね」と共感できること間違いないです。大企業の方にはMUSTで読んでいただきたい内容です。

【印象に残った文章/内容】

・エンタープライズでは作業環境の陳腐さが課題になるケースが多くあります。低スペックのコンピュータ、アクセス制限で調べ物ができなかったりクラウドサービスに接続できないネットワークなど

6位_みんなでアジャイル ―変化に対応できる顧客中心組織のつくりかた

6位のみんなでアジャイルはアジャイルムーブメントとしてマインドセットの重要性を説いています。アジャイル始めたタイミングで読むと、とても良いと思います。

Matt LeMay 著、及川 卓也(その他)、吉羽 龍太郎 翻訳、永瀬 美穂 翻訳、原田 騎郎 翻訳、有野 雅士 翻訳
オライリージャパン (2020.3)

【概要/感想】
アジャイル手法はあくまでも「型」であり、その「型」を学ぶだけでは、真の目的は達せられないということだ。本書では「手法としてのアジャイル」と「マインドセットとしてのアジャイル」に分類し、両者を連携させる「ムーブメントとしてのアジャイル」を提唱している。

【印象に残った文章/内容】
これまでより速くて、柔軟で、よりよくなれるというぼんやりした希望から、新しいフレームワークやプラクティスを試そうとする企業は多い。そして、結局元のまま何も変わらないことに気付くのだ

5位_ふりかえりガイドブック

5位のふりかえりガイドブックはアジャイルの文脈以外でも使える1冊なので、万人にお勧めできる本となっています。

森 一樹 著
翔泳社 (2021.2)

【概要/感想】
上記SCRUM BOOT CAMPと同じような漫画形式でふりかえりの手法を学ぶことができる本です。アジャイルの本質はふりかえりにあるといっても過言でないほどふりかえりは大事になります。またアジャイル以外でもふりかえりは重要なので、アジャイルは興味があるけど導入は困難と思っているようなプロジェクトにも非常に参考になる内容ですので、どちらかというとこちらの本の方が万人にお勧めできる内容です。カイゼン活動に興味がある方やすでにふりかえりはしているもののマンネリ感を感じた時に必読の一冊です。

【印象に残った文章/内容】
ふりかえりチートシート(ふりかえりのお供にチーム皆でお使いください)
手法:DPA,希望と懸念,信号機,ハピネスレーダー,感謝,タイムライン,チームストーリー,Fun Done Learn,5つのなぜ,アクションのフォローアップ,KPT(ケプト/ケーピーティー),YWT,熱気球/帆船/スピードカー/ロケット,Celebration Grid,小さなカイゼンアイデア,Effort&Pain/Feasible&Useful,ドット投票,質問の輪,SMARTな目標,+/⊿

4位_カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで

4位のカイゼン・ジャーニーは普段のウォータフォール開発でモヤモヤしている人へのおすすめの1冊です。小説形式で胸が熱くなるストーリーとなっています。

市谷 聡啓 著、 新井 剛 著
翔泳社 (2018/2)

【概要/感想】
物語を通してアジャイルの技法やマインドが学べる本。物語の雰囲気がリアルなシステム開発が伝わるところが非常に良いです。結構感動的なストーリーになっています。
また出てくるアジャイルの技法についても単なる技法の紹介というより物語の中で出てくるとマインドとセットで理解することができます。また技法を使ってもすぐにうまくいかない所もリアルな感じで良いです。

【印象に残った文章/内容】
それで、あなたは何をしている人なんですか?
– 何も答えられなかった。何一つ言葉が出てこなかった。そして、理解した。僕は何一つやっていないんだ。僕は会社でぼんやりとした人たちに、こうすべき、ああすべき、こう考えるべき、なぜこうしない、とさんざん言い散らしてきた。でも、自分一人で何かを始めることはなかった。「何をしている人なのか?」に答えられるようなお話を持っていなかった。
Whyから始めよ
– まずは質の高い良いプロダクトとは何なのか?共通認識にする必要がある。ここがプロダクトオーナー、デザイナー、開発チームでまだ揃っていない。今更といえば今更だが、そんなことを言っても仕方がない。気づいて動く時がその人にとっての最速なんだ

3位_SCRUM BOOT CAMP THE BOOK

3位のスクラムブートキャンプはアジャイルを勉強したいときに始めに読む1冊はどれか?と聞かれたらお勧めしたい1冊です。

西村 直人 著、 永瀬 美穂 著、吉羽 龍太郎 著
翔泳社 (増補改訂版  2020.5)

【概要/感想】
マンガの物語形式でシステム開発の現場でどのようにスクラム開発を実施すればよいか学べる本です。実際にスクラムを経験しているような臨場感を持って読むことができます。基礎編でスクラムとは?実践編で実際のスクラムの場面で意識すべき内容が記載されています。
スクラムは経験主義ともいわれ実際にやってみないと説明が難しいのでこの漫画の物語での説明は非常にイメージがつきやすく、スクラム初心者にとっては必読書と言えます。

【印象に残った文章/内容】
ロールは単なる目印
-ロールは目印で、足りないものがあるのであればスクラムチーム全体でどうやって補っていくか考えていけばいい。だけど、そもそも熱意をもっていないとしたらそれを補うことが一番難しい
ロールはは問題を見つけやすくするためにあるんだ
-プロダクトバックログの順序が全く更新されていなければ、何か変だと感じるはずだ。それは、プロダクトオーナーがきっと何か問題を抱えているはずだ。すでに完成したと判断したものをしばらくぶりに触ってみたらエラーだらけで全然使えなかった、そんな時は、開発チームが何か問題を抱えているはずだ。問題がどこにあるかをすぐに把握するためにロールはあるんだ


2位_アジャイルサムライ−達人開発者への道−

多分この本から日本のアジャイルの成功事例が増えていったと感じる伝説の名著です。こちらもスクラムブートキャンプと同じく、最初にお勧めしたい1冊です。

Jonathan Rasmusson 著、西村 直人 監訳、角谷 信太郎 監訳、近藤 修平 翻訳、角掛 拓未 翻訳
オーム社 (2011.7)

【概要/感想】
アジャイルについてユーモアも交えてしっかり記載された入門書。本書で紹介されているインセプションデッキはプロジェクト実施の上で関係者と計画を共有する上で非常に使いやすいフレームワークになっている。入門書とはいえまったく経験がないと理解しづらい内容も一定あると思います。

【印象に残った文章/内容】
警告.誰もがこの働き方を気に入るわけじゃない
-アジャイル開発はこれまで経験したことのないほど強烈なスポットライトを浴びているみたいな
感覚であり、隠れる場所はない。価値を生み出すか、生み出さないか2つに1つなので、
気弱な人にはお勧めできない。
もうやり残したことはないし、何もかも分かった」と思ったその瞬間、君はもうアジャイルじゃなくなるってことだ
‐プラクティスに囚われすぎちゃだめだ。この本から使えそうなものを選んだら、それを君の現場の性質と状況になじむようにするんだ。もしもこの先、自分のやり方が「アジャイルの道」に沿っているかどうかの自信がなくなったら、悩んでないでこう自問すればいい
 -毎週、価値ある成果を届けられているか?
 -たゆまぬ改善のための努力を惜しまず続けているか?
この2つの問いへの答えが「イエス」なら、君はアジャイルだ。

1位_正しいものを正しくつくる プロダクトをつくるとはどういうことなのか、あるいはアジャイルのその先について

1位は「正しいものを正しくつくる」です。初心者向けではないのですが、アジャイル開発のWhy/What/Howがギュッと詰まっていて密度が非常に高いです。

市谷聡啓 著
ビー・エヌ・エヌ新社 (2019.6)

【概要/感想】
かなりのボリュームで、その上無駄な記載がない大作です。この本の内容を理解でき実践できればプロダクト作成はきっとうまくいくでしょう。と思えます。ただ、中身が濃すぎることもあり初心者向けではありません。また、上流から下流まで広い内容で実践できるメンバーは限定的かもしれません。アジャイル経験やプロダクト作成の経験が全くないと本書を理解するのは難しいと思いますが、プロジェクトを実施しながら隣においてずっと読んでいたい本です。

【印象に残った文章/内容】
アジャイル開発は2度失敗する ー 間違ったものを正しくつくる
-実際に進めていこうとすると、チームは2つの壁に直面することになります。最初の壁は、「アジャイルに作る」という取り組みに伴う困難。その壁を越えた時に気付くのです。確かに開発チームは正しく作っている。ただし、間違ったものを、だ。
「正しいものを正しく作れているか?」
という常に向き合うべき「問い」が存在します。これは「わかったものを正しく作る」に読み替え、わかることを増やしにいくこと、さらにあえてわからないことを増やしに行く。これはすなわち壁を超える越境といった行為となる




以上、超おすすめのベスト10でした。ベスト10には漏れたもののおすすめの本は多いので、以下惜しくもベスト10から漏れたその他の50冊の紹介です。随時アップデートして入れ替えていきますので異論やその他のおすすめの本があれば連絡いただければ幸いです。

その他のアジャイル関連の本

ここはウォーターフォール市、アジャイル町 ストーリーで学ぶアジャイルな組織のつくり方

沢渡 あまね 著、新井 剛 著
翔泳社(2020.10)

【概要/感想】
まずはタスク管理ツール/コミュニケーションツールを入れる。ウォーターフォールの会社からするとこれがカイゼンの一歩の一番の手だと思いました。悦に入る人の言動と卑下する人の言動が負のフィードバックループになるという点がドキっとしました。

【印象に残った文章/内容】

ウォーターフォール VS  アジャイル

この虚しい論争をそろそろ終わりにしたい。そう思って、この本の執筆に至りました。気が付けば、ウォーターフォールVSアジャイルの対立構造になってしまっている。ウォーターフォールもアジャイルも物事を解決するための手段でしかないのに、お互いがお互いの「べき論」を主張するあまり、相手を打ち負かすことが目的かしてしまうのですね。二項対立ではなく、旧来の仕事のやり方と新しい仕事のやり方の「いいとこどり」をしていくことが、これからの時代を前向きかつサスティナブル(持続可能)に生きるために必要ではないでしょうか?

いちばんやさしいアジャイル開発の教本 人気講師が教えるDXを支える開発手法

市谷聡啓 著、新井剛 著、小田中育生 著
インプレス (2020.5)

【概要/感想】
「いちばんやさしい」という記載から漫画で分かる的なイメージで手に取ったのですが、初心者向きではあるものの、記載されている内容はかなり本質の骨太な内容でした。盛りだくさんでちょこちょこ見返す本としてとても良いです。

【印象に残った文章/内容】

現場や組織がアジャイルに向かっていく活動は、どこから始まるのでしょうか。組織のマネージャーでしょうか。現場に招かれたアジャイルコーチによってでしょうか。救世主がいつかやってくるのをただ待っているほど人生は長くありません。この本を手にしてここまで読み進めてきた方は、開発と組織をアジャイルにしていこうという思い、あるいは取り組む必要があると感じている人だと思います。アジャイルに向かい始めるのに必要なものとは、そのような意思です。実際のところアジャイル開発では、確かなエンジニアリング、プロセスや協働に対する練度など求められるレベル感は高いものです。ただし、それ以上に障壁となるのは、「これまでこうしてきた」といった「これまでの認識」から生じる現状維持への重力です。そうした重力を断ち切り、それでも一歩踏み出す行動のことを「越境」と呼びます。最初の越境を支えるのは、「もっとよりよい仕事をしたい」とか「自然な選択と意思決定をしたい」といった自分自身のなかから沸き立つ意志にほかなりません。 越境は、ただ物事が進むだけではありません。必ず何らかの結果が生まれ、それを発信することで、他者を巻き込んでいく引力にもなります。あなたが、実践から得た学びを一人占めすることなく積極的に提供していくことで、あなたの成果に人はあつまるのです。

スクラム実践入門 ── 成果を生み出すアジャイルな開発プロセス

貝瀬 岳志 著、原田 勝信 著、和島 史典 著、栗林 健太郎 著、柴田 博志 著、家永 英治 著
技術評論社 (2015.3)

【概要/感想】
スクラムの概要と実際の事例を紹介した本。実際の事例について参考となります。最初必ずといっていいほど失敗から始まっているのがリアルで良かったです。

【印象に残った文章/内容】

・スクラムを導入したけど問題が山積みな方へ:スクラムは問題をあぶり出すフレームワークです。覚悟を決めて問題と向き合いましょう!!

・スクラムにも慣れてきて問題が少なくなってきたと感じている方へ:本当に問題はありませんか?見落としている観点はありませんか?スクラムに興味を持ったら実践し、コミュニティやイベントに参加するのが習得の近道です。まずは動いてみましょう!!



SCRUMMASTER THE BOOK 優れたスクラムマスターになるための極意

Zuzana Sochova 著、大友 聡之 翻訳、川口 恭伸 翻訳、細澤 あゆみ 翻訳、松元 健 翻訳、山田 悦朗 翻訳、梶原 成親 翻訳、秋元 利春 翻訳、稲野 和秀 翻訳、中村 知成 翻訳
翔泳社 (2020.9)

【概要/感想】
スクラムマスターのサーバントリーダーシップについて説明した本。色々本を読んでいく中で、意外とこの点をしっかり書かれた本がないことに気付きました。スクラムマスターには必読の本です。

【印象に残った文章/内容】

スクラムマスターであり続けることは、アドベンチャーゲームをプレイするのと似ています。
アドベンチャーゲームは初めから道具の使い方をすべて知らなくても大丈夫で、あれこれやり方を試すことで使い方を習得していきます。 「好奇心」と「遊び心」を持って「我慢強く」いろいろ試していきましょう

誰も教えてくれなかったアジャイル開発

堀 哲也 著、稲荷 裕 著、木村 秀顕 著、柴㟢 秀算 著、廣瀬 志保 著、石橋 正裕 著
日経BP (2022.4)

【概要/感想】
エンタープライズでアジャイルを実施する際の方法論。アジャイルをそのまま入れるとうまくいかないということで、若干変則的に検討しながら導入する技法について記載しています。コンサルの方が書いているなぁといった印象を受けました。具体的なTipsを知りたい場合に良いと思います。

【印象に残った文章/内容】
「アジャイル開発の理解」は相手により濃淡をつける

チーム・ジャーニー 逆境を越える、変化に強いチームをつくりあげるまで

市谷 聡啓 著
翔泳社 (2020.2)

【概要/感想】
アジャイルでチーム構成をどう進めて行くかという本。プロダクトが動的に動く中でチームも動的に変化・成長させていくべきという点での方法・戦略を記載している。プロジェクトリーダーにお勧めの本

【印象に残った文章/内容】

チーム運営を推進するためにはマネジメントリードを配置し、チームの戦略を立てるとよい。ただし、リード役がいるということは、逆にチームがそれ以上の速度で進めないことを表す。いずれはリード役が自ら自分の役割を手放して共同化を進めるとよい



アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣

Venkat Subramaniam/Andy Hunt 著 木下 史彦 監訳,  角谷 信太郎 監訳
オーム社 (2007.12)

【概要/感想】
アジャイルのプロジェクトの進め方について天使の声と悪魔の声で良いプラクティス、悪いプラクティスを開設した本。悪魔の声がなかなか良いです。

【印象に残った文章/内容】
応急処置は泥沼を招く:コードのそんなところまできちんと理解しなくても大丈夫さ。そのまんまでちゃんと動くみたいだぜ。ちょっとだけイジれば、いいんだよ。計算結果に1をプラス。それでバッチリじゃないか。さあ、その修正を組み込んじまおうぜ。大丈夫だって、たぶん

アジャイルレトロスペクティブ

Esther Derby/Diana Larsen 著 角 征典 訳
オーム社 (2007.9)

【概要/感想】
レトロスペクティブの方法論を紹介した本。すぐにでも使える内容やファシリテーターの心得が記載されています。

【印象に残った文章/内容】
1.場を設定する⇒2.データを収集する⇒3.アイデアを出す⇒4.何をすべきか決定する⇒5.レトロスペクティブを終了する

図解入門よくわかる最新XPエクストリームプログラミングの基本と仕組み

畑田 成広 樋口 博昭 著, 長瀬 嘉秀 監修
秀和システム  (2002.9)

【概要/感想】
XPの簡単な解説本。2002年の昔の本だけあって日本での事例はまだうまくいくか半信半疑といった事例になっており、時代を感じます。

【印象に残った文章/内容】
なお、残念だった点としては、やはりユーザーを巻き込むことができなったためユーザとのコミュニケーションを十分にとることができませんでした。事前に十分に話し合って同意してもらう必要があると思います。


アジャイル開発への道案内

片岡雅憲 小原由紀夫 光藤昭男
近代科学社  (2017.9)

【概要/感想】
スクラム、XPだけでなく、アジャイルの複数の技法や実際の日本企業での適用事例をまとめた教科書的な本。教科書としてまとまっていてよいです。

【印象に残った文章/内容】
ICONIXからXPに対しては沢山の批判がある。XPはプログラミング工程に偏りすぎていて設計工程を軽視しており、バランスを欠いていると評価されている。これに対するXP側からも「ドキュメント作成でいくら頑張ってみても曖昧性はなくせず、動くソフトウェアを顧客に見せることの方がはるかに効果的だ。この意味でAgile ICONIXはアジャイル開発とは言えない」と反論されている

Clean Agile 基本に立ち戻れ

Robert C.Martin 著、 角 征典、角谷 信太郎 訳

KADOKAWA (2020.10)

【概要/感想】 
アジャイル宣言がどのように議論されたかといったロバートマーティンならではの逸話やXPの考え方に回顧せよといった既存のスクラム運営での問題について提言した内容。非常に共感をもって読むことができました。

【印象に残った文章/内容】
このようなアジャイルプロセスに、戦略的に技術を考える余裕はない。アーキテクチャや設計は求められていない。求められているのは、バックログで最も優先順位の高い項目にフォーカスして、それをできるだけ素早く完成させることである。このようなことをしていると、戦術的な作業が延々と続き、技術的負債が蓄積してしまう。フラジャイル(脆弱)なソフトウェアで有名な「モノリス」が当たりあえになる。マネージャーは開発者の行動が遅いことを非難する。開発者は、戦略的に技術を考えることを認めなかったマネージャーのことを非難する。プロダクトオーナーは、自分のことをチームの一員と考えておらず、問題が発生しても責任を共有しようとしない。「我々」対「彼ら」の文化が支配的なのである。我々はこれをアジャイルの二日酔いと呼んでいる。

わかりやすいアジャイル開発の教科書

前川 直也、西河 誠、細谷 泰夫 著
SBクリエイティブ (2013.3)

【概要/感想】 
アジャイル初心者向けに丁寧に自分たちの言葉でアジャイルを開設した教科書。まだインセプションデッキがメジャーでない頃ですが、インセプションデッキのような取り組みの重要性を説いていてとても良いと思いました。ちょっと古いですが、参考になるプラクティスが載っています。

【印象に残った文章/内容】
アジャイル開発を現場で実践していると、何度も「アジャイルにやるとは、どういうことか?」という基本的な問いに立ち返ることがあります。ビジネス価値を最大化するための実践方法は、時代背景やそれに関わる人によって、時々刻々と変わっていきます。つまり、プロジェクトと人の数だけアジャイルの実践方法は違ってきます。

バルコミュニティに参加する多くの組織と実務者は、プロセス・アプローチが有用であるとしています。

リーン開発の現場 カンバンによる大規模プロジェクトの運営

Henrik Kniberg 著, 角谷 信太郎、市谷 聡啓、藤原 大 訳
オーム社 (2013.10)

【概要/感想】 
「現場」というタイトル通り、著者が実際に行ったアジャイル開発の事例を細かく紹介している内容です。開発プロセスは自分たちに合わせ徐々に変更していくもので正解というのはありません。

ただ、実際の事例はとても参考になるので、著者がどのように考えてその方策を採用しているかなどを知ることができ、自身のプロジェクトについて考えるきっかけになる本です。特に副題ともなっている「カンバン」については様々な経緯を経て出来上がったカンバンになっており、プロジェクトマネジメントのすごさを感じました。一定規模のアジャイルをうまく回せていてとても参考になります。

【印象に残った文章/内容】
変化を起こすことは難しい!特に人を巻き込む場合はとても厄介だ。そして、組織変革は常に人を巻き込むものだ。だから、専任のチェンジエージェントが少なくとも一人はいることが、成功させるために欠かせない要素の一つになる。チェンジエージェントが組織を駆り立て、導き、変革のプロセスを促進させることに全力を尽くすんだ。

アジャイル開発マネジメント クイックガイド

高畠 勇人,渡辺 裕,株式会社テクノロジックアート 著 長瀬 嘉秀  監修

技術評論社 (2013.3)

【概要/感想】 
アジャイルを大企業に入れる際のコツの概要を記載した本。サクサク読むことができます。2013年の本なのでTipsは今読むと若干古いです。

【印象に残った文章/内容】
アジャイルというとどこかの牛丼屋のように「早い、安い、旨い(?)」といったイメージがあります。ですが、誤解を恐れずにあえて言い切ります。「アジャイル開発手法を導入すると生産性は下がります」と。

だけではない。この新しい考え方に沿って編成されたチームが必要なのだ。

達人プログラマー

David Thomas, Andrew Hunt  著、村上 雅章 訳

‎ オーム社 (2020.11)

【概要/感想】 
アジャイルソフトウェア開発宣言」にも名を連ねている著者のエンジニアの心得集。わりと具体的で詳細な内容まで書いてくれてあるので、かなりイメージアップが進みます。アジャイル導入するもなかなかXPの価値観が身に付かない等の時にヒントとなる一冊です。

【印象に残った文章/内容】
あなたは完璧なソフトウェアを作ることができない。(ソフトウェアは完璧にはならない。このため、不可避のエラーからコードとユーザーを守る。 ※達人プログラマーは、自分自身も含めて信頼していない。そのため防衛的なコーディングを行う。)

スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術

ジェフ・サザーランド 著  石垣賀子 訳

‎ 早川書房 (2015.6)

【概要/感想】 
スクラムを発明したジェフサザーランド自体が書いたスクラムの本、表紙からは微妙なビジネス書みたいな雰囲気がありますが、スクラムの背景の内容が事例や論文とともに説明されており、かなりスクラムの理解が深まります。スクラムマスターにお勧めの一冊です。

【印象に残った文章/内容】
イスラエルの研究で判事が仮釈放を認めるかどうかを調査した研究がある。調査によると仮釈放されるか否かを決める要素は、刑務所内の態度でも、罪の重さでもなく、判事が食事をしてどのくらい時間がたっていたかだったのだ。休憩直後の判事は前向きな姿勢で判決に臨み、寛大な決定を下した。何かを選択し決断するのは消耗する。そのため、何より休憩が重要となる。その仕事にどれだけ時間をかけたかが大事なのではない。大事なのはどれだけ速く、どれだけいい仕事ができたかだ。

LEAN UX 第3版

Jeff Gothelf, Josh Seiden 著 、坂田 一倫 監修、エリック・リース 編集、児島 修 翻訳

‎ オライリージャパン第3版 (2022.8)

【概要/感想】 
LEAN UXの第3版。第1版からはガラッと変わってかなり洗練した本になっています。まさにLEAN UXで本を作っていったという感じ。キャンバスだったり、内容だったり、実際に適用するためどうしたらよいかという点が分かりやすくなっておりかなりおすすめな内容です。 

【印象に残った文章/内容】
・Lean UXとは、「コラボレーティブ、部門横断的、ユーザー中心の方法によって、プロダクトの本質を素早く明らかにするためのデザインアプローチ」「ユーザー、ユーザーのニーズ、ソリューション案、成功の定義についてのチームの共通理解を構築する」「チームの意思決定に求められる根拠を築き、プロダクトやサービス、価値の提供を絶えず向上させるために、継続的な学習を優先させる」である。

変革の軌跡 世界で戦える会社に変わる”アジャイル・DevOps”導入の原則

Gary Gruver,Tommy Mouser 著 、 吉羽 龍太郎,原田騎郎 訳

‎ 技術評論社 (2017.1)

【概要/感想】 
エンタープライズにDevOpsを導入する上での検討点を記載。また日本語版では楽天の実例も記載されています。

【印象に残った文章/内容】
経営幹部がリリースプロセスで文化の変化を促進しないなら、継続的デリバリーのような技術的ソリューションに投資しようなどと考えない方が良い。どうせうまくいかないからだ。

トヨタ生産方式

大野 耐一 著

‎ ダイヤモンド社 (1978.5)

【概要/感想】 
アジャイルの始まりとなる「トヨタ生産方式」の本。だいぶ前の本だが、今読んでも学びがあるのはすごいと思います。

【印象に残った文章/内容】
企業のなかのムダは無数にあるが、作りすぎのムダほど恐ろしいものはない。

ゾンビスクラムサバイバルガイド

Christiaan Verwijs , Johannes Schartau , Barry Overeem 著 木村 卓央 , 高江洲 睦 , 水野 正隆  訳

‎ 丸善出版 (2022.10)

【概要/感想】 
スクラムを形としては導入して、遠くから見るとうまくいってそうだが実際は程遠いゾンビスクラムに対して、原因、対策についていくつかの具体的なプラクティスを紹介しています。スクラムマスターにお勧めの本となっています。

【印象に残った文章/内容】
ゾンビスクラムチームはステークホルダーのニーズを知らない、早く出荷しない、(継続的に)改善しない、障害を克服するための自己組織化をしない。

「サーバント・リーダー」は一朝一夕に育成できるものではありません。

LeanとDevOpsの科学

Nicole Forsgren Ph.D. , Jez Humble , Gene Kim 著、武舎広幸 , 武舎るみ 訳

インプレス (2018.11)

【概要/感想】 
DevOpsの効果について大量のアンケート、インタビューから科学的に示した本です。アジャイル、DevOpsを進める人は情報として必読だと思います。

【印象に残った文章/内容】
パフォーマンスが良好な組織を、そうでない組織と比較した結果は次の通りとなった 「コードのデプロイ頻度は46倍」「コミットからデプロイまでのリードタイムは1/440」「平均復旧時間(稼働停止からの復旧に要する時間)は1/170」「変更失敗率は1/5」

心理的安全性とアジャイル

ドゥエナ ブロムストロム 著、 松本裕 訳

翔泳社 (2022.6)

【概要/感想】 
組織構築やチームビルディングにおける心理的安全性の重要性や過去の論文、文献からの内容を説明した本。心理的安全性というキーワードが成果を産むということに対して若干胡散臭いと思っている人に対してぜひ読んでもらいたい本です。スクラムマスターにも理解すべき内容です。

【印象に残った文章/内容】
アジャイルは「すたれる」ものではない。早く理解しなければあなたのほうがそうなる。誰かに肩代わりしてもらえると思うな。自分がスーパーヒーローになれ。後ろのポケットを探ってみたらいい。そこにマントが入っているはずだ!

More Effective Agile ~“ソフトウェアリーダー”になるための28の道標

Steve McConnell 著 、 長沢 智治 監訳 、 クイープ 翻訳

日経BP (2020.6)

【概要/感想】 
CODE COMPLETEを書いたマコネルがアジャイル実施に関して厳選したプラクティスを紹介する本書。厳選したとあるがかなり広く紹介しており、現場で使える新しいネタが必ずあると思えた。

【印象に残った文章/内容】
ほとんどの組織は、エンドツーエンドのアジリティの実現には至らない。そこで役立つのが、アジャイルの境界がどこにあるのかを理解しておくことである。

アジャイル開発とスクラム~顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント

平鍋 健児、野中 郁次郎 著

翔泳社 (2013.1)

【概要/感想】 
アジャイル開発とスクラムについてわかりやすく説明した資料。野中先生の論文の考察や実践知リーダーの考察も記載されていて幅広く学習できる。

【印象に残った文章/内容】
「形式的な会議で決めることはできない。いろんな背景を持った人の集合において、形式知で語れること、理解し合えることはごく一部だ。合宿をし、一緒に飯を食い、泊まって徹底的に話をする。そうすると、形式知は脱ぎ捨てられ、自分の主観で話をするようになる。そこで、なぜこのプロジェクトに自分が参加しているのか、という根源的な問いまでたどり着けるだろう。そこから始めて、一つの共通理解が生み出される。この過程をみんなで踏みなさい」

スクラム実践者が知るべき97のこと 単行本(ソフトカバー)

Gunther Verheyen 編集、吉羽 龍太郎、原田 騎郎、永瀬 美穂 訳

オライリージャパン (2021.3)

【概要/感想】 
97人+10人のスクラムに対するコラムをまとめた1冊。色々な人の意見があるため、必ず1つは気に入る内容があると思います。

【印象に残った文章/内容】
ちょっと無理してでも、積極的に観察を続ける以外は何もしないことを選ぶ。

XPエクストリーム・プログラミング実行計画 (The XP Series)

ケント ベック、マーチン ファウラー 著 長瀬 嘉秀 訳

‎ ピアソンエデュケーション (2001.4)

【概要/感想】 
エクストリーム・プログラミングでの計画の仕方について解説しています。かなり前の本ですが、今見ても学びが有るのはさすがです。またアジャイル以外のプロジェクトでも役に立つ内容です。

【印象に残った文章/内容】
伝統的なビジネス関係では、あなたがXPでプロジェクトを計画し実行しようとするとバカにされるかもしれない。

塹壕より ScrumとXP

Henrik Kniberg 著 後藤 章一 訳

‎ InfoQ(無料ダウンロード) (2008.8)

【概要/感想】 
ヘンリック氏が実際のプロジェクトでのスクラムの様子について解説してくれた内容。何より無料で読めるのが素晴らしい。内容についても初心者でもわかりやすいものになっています。スクラムマスターさんおすすめの1冊です。

【印象に残った文章/内容】
スプリントゴールを考え出すことは難しい。でも。何とか搾り出すためにどうすればよいか判った。くだらないゴールでも、無いよりは遥かにマシってこと。

アジャイルメトリクス

Christopher W. H. Davis 著、 株式会社Sider, 浅原 明広, 尾原 秀登, 末次 健太郎,角幸一郎, 中川岳 訳

翔泳社 (2022.11)

【概要/感想】 
アジャイル開発を中心とした開発の中でどのようにメトリクスをとり、どのように使用するかというかなり詳細な方法まで記載している一冊。丁寧に書かれている本で非常に好感が持てました。全部このまま使うという事は無理でしょうが何らか使えるエッセンスはあると思います。

【印象に残った文章/内容】
グループの中には自身の仕事の測定に非協力的な人もいるでしょう。通常これは、未知のものへの恐怖、支配者への恐怖、またはコントロールの欠如に起因しています、(人は測定されるのが好きではない/メトリクスはプライバシーの侵害だ/メトリクスがプロセスを重くしている/メトリクスは難しく時間がかかりすぎる)

アジャイルコーチング

Christopher W. H. Davis 著、 株式会社Sider, 浅原 明広, 尾原 秀登, 末次 健太郎,角幸一郎, 中川岳 訳

翔泳社 (2022.11)

【概要/感想】 
アジャイルプロジェクトを進める上で気をつける内容が事例含みでわかりやすく説明されている。非常に現場に合った視点で書かれていて、書いてある内容に対して印象が良かった。スクラムマスターには必読の本。徐々にチームを成長させていくコツが何らかしら見つかると思うので、開発者やPOにも是非おすすめしたい一冊。

【印象に残った文章/内容】
アジャイルは宗教じゃないわ アジャイル信者にならないように気をつけて。全くの逆効果だし、みんなに引かれるわよ。アジャイルを適用していない人たちを「悟りを開いていない愚か者」かのように扱うのは絶対ダメ!

The PHOENIX PROJECT The DevOps 逆転だ!究極の継続的デリバリー

ジーン キム, ケビン ベア, ジョージ スパッフォード 著 、 長尾 高弘 訳, 榊原 彰 監訳

日経BP (2014.8)

【概要/感想】 
 2014年の本という事でもう10年近く前の本になります。小説仕立ての本になっていて、本書の中でも「The Goal」が紹介されていましたが、20年前にThe Goalを読んだ時のことを思い出しました。Goalから10年で本書、さらに10年と考えると、AIとトヨタ生産方式を組み合わせた新しい小説がそろそろ出るんじゃないかなーと考えていました。。

【印象に残った文章/内容】
「あなたのところの人たちは、ルール破りの常習犯よ。全員が変更要求のランクを『至急』だの『緊急変更』だのマークしてくるのよ。」

「『至急』にしとかなきゃ、お前んとこのチームは見もしねえじゃねえかよ。承認されるまで誰が3週間も待ってられるかよ」

アジャイル開発の法務

梅本大祐 著

日本加除出版 (2022.11)

【概要/感想】 
アジャイルプロジェクトを実施する上での、契約面、法務面の解説をしている1冊。残すべきドキュメント、下請法、偽装請負の対策等、契約面についての注意事項や、ひな型の契約書文面及び判例の紹介をしている。法務、契約面から意識しても、「アジャイルの価値原則」を大事にプロジェクトを進めることが重要と説いている。

【印象に残った文章/内容】
アジャイル開発の理念や特徴の理解とそれをふまえた契約の締結が必要。

これまでの仕事 これからの仕事 ~たった1人から現実を変えていくアジャイルという方法

市谷 聡啓 著

技術評論社 (2023.6)

【概要/感想】 
 JTCっぽい会社なら必ず感じる「これまでの仕事」に対して、VUCAの状況に合わせてどのようにしていけばよいか?という点について、Why(なぜそうなってるか?変化すると何がうれしいか?)とHow(どのように変えていけばよいか?)の内容が記載された本になります。アジャイルが基本ですが、アジャイルとは関係ない方にこそ読んでいただきたい1冊です。

【印象に残った文章/内容】
「1人のうちに得ておくこと」とは何か。それは、未知なるものに向き合うための勇気だ。勇気とは、精神論だけで手繰り寄せられるものではない。勇気とは、あくまで自分の中に「頼り」を作ることで醸成される。

人が増えても速くならない ~変化を抱擁せよ~

倉貫 義人 著

技術評論社 (2023.6)

【概要/感想】 
 ソフトウェアについての話は普通に経営しているだけだと中々知る機会がないといった、経営者の言葉をきっかけに、そのギャップを埋めるべくエンジニア以外の人たちに向けて書かれた本になります。章の初めにエンジニアと経営者とのやり取りのストーリーが毎回書かれているのですが、その会話が秀逸です。薄くて、素早く読める本なので、ぜひエンジニア以外の方も読んでいただけると嬉しい一冊です。

【印象に残った文章/内容】
ある一点の完成を目指すことは、逆に言えば一度だけ完成すればいいということです。そうなると、完成後のことよりも完成させることに力点が置かれてしまうのは仕方がないことです。

アジャイルプラクティスガイドブック チームで成果を出すための開発技術の実践知

常松 祐一 著, 川口 恭伸 , 松元 健 監修
翔泳社 (2023.7)

【概要/感想】 
 アジャイルの技術やツールのプラクティスについて背景や現場で使える具体例を紹介してくれています。特に背景部分について初心者に向けてもわかるように説明してくれており、アジャイルとは関係なくシステム開発している人全般に読んでほしい内容と感じました。 またリファレンスがかなり紹介されているのでこの本から広がって学習していくのに最適な内容となっています。

【印象に残った文章/内容】
実装前に方針を話す「短い時間であったとしても、実装を始める前に方針をはなしておきましょう」

スクラムの拡張による組織づくり─複数のスクラムチームをScrum@Scaleで運用する

粕谷 大輔 著
技術評論社 (2023.8)

【概要/感想】 
 日本語では初めて?と思えるScrum@Scaleについて書かれた本でした。実際に組織で使う上での感想やScrum@Scaleそのものについても概要を説明してくれています。

【印象に残った文章/内容】
チームのスケールを考える前に、まずは1つのチームを維持したまま上手くやる方法は本当にないのか、というのをギリギリまで考え抜いてください。~中略~ やるべきことにしっかり焦点を絞って、そうでないものはスコープから外すなど、やる事を少しでも小さくできないかを検討すべきです。

継続的デリバリーのソフトウェア工学 もっと早く、もっと良いソフトウェアを作るための秘訣

David Farley 著 、 長尾 高弘,榊原 彰 訳
日経BP (2022.12)

【概要/感想】 
 ソフトウェア工学を全面に出しており、工芸の重要性とそれ以上にソフトウェア工学が重要であると論じています。特にXPのプラクティスを中心としたその先の継続的デリバリーの開発アプローチの重要性を説いています。筆者のコードやアーキテクチャ、アジャイルへの愛を感じる内容でした。

【印象に残った文章/内容】
ソフトウェア開発は、探索と発見のプロセスです。そのため、ソフトウェアエンジニア(ソフトウェア工学の実践者)がこの分野で成功するには、学びのエキスパートになる必要があります。

ぼくのアジャイル100本ノック

oyakata Agile Tech Expo(2022.夏)

【概要/感想】 
 アジャイルに関連するオムニバス形式の本でたくさんの人が執筆しています。アジャイルの初心者の視点の記事から、アジャイルの失敗談、NVC、組織アジャイル、コミュニティまで幅広い内容が詰まっていて読んでいて楽しいし、勇気ももらえる本でした。

【印象に残った文章/内容】
 結局のところ、会社の変革はその会社の社員でしか成し遂げられないのです。外部のコンサルタントに推進を任せるのではなく、手綱はちゃんと社員が握り進めていくのがとても重要です。

コーチングアジャイルチームス: スクラムマスター、アジャイルコーチ必携

Lyssa Adkins 著、 田中 亮,高江洲 睦,山田 悦朗,花井 宏行,知花 里香,斎藤 紀彦,小枝 真実子 訳
丸善出版 (2024.1)

【概要/感想】 
 アジャイルチームに対するコーチングの本です。アジャイルコーチ、スクラムマスター必携とありますが、まさに色々なシチュエーションでヒントとなる内容がちりばめられてました。コーチングの本というだけあって、答えというより、考えるきっかけをたくさんもらって、読んでいて前向きになれる本でした。

【印象に残った文章/内容】
 今ここのプラクティス。自分の反応に気付き、意識的に行動を選びましょう。これは訓練して身に着けるスキルです

小さな会社のスクラム実践講座

柏岡秀男 著, Scrum Inc. 監修
エムディエヌコーポレーション (2022.12)

【概要/感想】 
 初心者向けにスクラムをどう導入すると効果的かという点がまとまって書かれています。まとまってさっと読みやすいので、短い時間で読むことが出来ました。初心者を広くターゲットにしている本だと感じました。

【印象に残った文章/内容】
 大切なのは顧客が「プロダクトを本当に完成させたい」とおもうことと、顧客の担当(プロダクトオーナー)と開発者、スクラムマスターが協力してプロジェクトを進められる状態であることです。このような状況であれば、スクラムはメリットを生むことでしょう

アジャイルソフトウェア開発スクラム (アジャイルソフトウェア開発シリーズ)

ケン シュエイバー,マイク ビードル 著、 スクラム エバンジェリスト グループ 訳
桐原書店 (2003.9)

【概要/感想】 
 2003年の本なので、今から20年以上前の本となります。スクラムガイドの初版よりも前ですが、複雑適応系でのフレームワークとしてのスクラムの要素について良く書かれてました。

【印象に残った文章/内容】
 大半のシステム開発において、とても単純で、ほとんど雑音がなく、定義プロセス制御モデルが適切なプロジェクトはほとんど存在しない。