ウォーターフォールのPMがPOやってみた

Insurtechラボ兼任研究員のたかのです。この記事はInsurtechラボ3月アドベントカレンダー企画で「2022年度の学び」について書いています(9日目)

今回はピヨピヨな私がPOを担当したプロジェクトについて紹介したいと思います。ゴリゴリのエンジニアが仮説検証への越境の第一歩を踏み出したプロジェクト、、とくとご覧あれ。

プロジェクト発足の背景

InsurTech研究所では仮説検証型アジャイルの実現を目指して、日々プロダクト開発に勤しんでいるわけなのですが、、、

ある日気付いた。。

「仮説検証するチーム」と「PBIに沿ってアジャイル開発するチーム」が居るだけじゃね??
 それを「剛腕PO」が接着剤になって繋ぎとめているだけじゃね??

プロジェクトの目的

アジャイル開発するチームが仮説検証を体感して大事さに気付く事を目標にしました。

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そのための題材として自分達がユーザの気持ちになれるようなサービスを作る事にしました。

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私が提示したこれらの資料をたたき台にスプリントZEROで議論して、
こんなプロジェクトゴールを設定しました。

【プロジェクトゴール】
POが想定している以上のユーザにとってよいプロダクトを
チーム皆で考えデリバリできるようになること

与えられた時間は3スプリント(6週間)。
POが形無しになる事をプロジェクトゴールに設定して我々は走り出しました。

ちなみに、仮説検証を体感する事を目標にしたので、パパっとやっつけで作ったペルソナだけを用意して、仮説キャンバスやカスタマージャーニーマップはPOから提示せずにスタートを切りました。

プロジェクトの顛末

Sprint.1でやったコト

・利用する技術要素の勉強会
ユーザーストーリーマッピング作成
・MVPの範囲決め(使うために最低限必要なもの)
・MVP構築

Sprint.2でやったコト

仮説キャンバス勉強会
仮説キャンバスの作成
・カスタマージャーニーマップ勉強会
・カスタマージャーニーマップの作成
・検証計画の策定
・パッと直せる範囲の機能改善

Sprint.3でやったコト

・ユーザーインタビュー勉強会
・インタビュースクリプトの作成
・リクルーティング
・ユーザーインタビュー
・インタビュー結果分析
仮説キャンバスの見直し
・改善候補バックログの抽出
・次回検証したい事の抽出

今思うと結構イロイロ詰め込みました。たくさん熱血レクチャーしてくれたコーチに感謝!

出来上がったプロダクトはこちら → すくらむ君
練習台プロダクトですが、良かったら使ってやってください。

実は時間の関係でプロダクトに反映できていないのですが、インタビューを通じてたくさんの新しいバックログが抽出されました。凄いね、無事にPO形無しだね。→ プロジェクトゴール達成!!

私はチームを離れましたが、開発メンバーはほとんど変わらずに次のプロジェクトのスタートを切っているのですが、POに対して、、、

ペルソナはどんな人ですか?」

仮説キャンバスはどうなってますか?」

こんな質問を当たり前のように投げかけられるようになりました。当初私が設定していたプロジェクトゴールも達成かな。

振り返り

【Keep】

  • チームのケイパビリティ強化をプロジェクトゴールとして定義したのが良かった。タスク感の少ない適度なファジーさだったので、自分事としての気付きを得やすかったと思う。
  • POとしての発言は重い。実現したい事は発信しつつも具体的な方法は敢えて言わないようにする事で開発メンバーの創意工夫を引き出す事が出来た。(きっと本来的には正しくないけど、チーム状態によってはこうゆう事もあるのかな、と)


【Problem】

  • 仮説検証のケイパビリティを上げる事が目的である、という事を免罪符にいまいちプロダクトへの拘りが弱かった。← 大反省!!
  • 結果としてプロダクトの仕上がりが今一つ。ケイパビリティ強化とのバランスが取れなかった、、、というかどうゆうバランスが良いのかPOがイメージアップできてなかった。
    当然ながらプロダクトゴールの達成度はイマイチ(まぁ期間の問題もあるが)
  • 仮説検証の一連の流れを経験する事を優先した結果、時間に追われて大変だった。時間に追われると、自分の根っこにあるPMが顔を出して、進め方を指示し始めた。(「こんな感じのスケジュールでいけますか?」が増えた。


【Try】

  • ちゃんとPOする!!!
      → 目的達成の気持ちが強かった。めっちゃPMっぽかったので考え直す。
  • 目的を意識する、、、なにこの二枚舌。笑
      → このプロジェクトの「POにとってのプロダクト」とは?(という事で次章へ)

むきなおり

少し失敬な言い方になるかもですが、今回の私にとってのプロダクトは『開発メンバー』。

だって仮説検証ができるエンジニアとか素敵じゃないですか。エンジニアの最高峰だと思ってた『フルスタックエンジニア』超えてきてるんじゃない?

だから、ちょっとイレギュラーだったかもしれないけどPOとしては割と満足。成功だったと思っている。『組織アジャイル』を目指して組織を相手にしたとき、そこに存在するのはヒトだ。だからヒトの越境・マインドチェンジを目指したこのプロジェクトは最高に有意義だった。

ただ、ここで思う。。
プロダクト開発するときもチームのケイパビリティや練度って当然大事だよな。プロダクトの価値を最大化するため、目指すべきチーム像を描くのもPOのミッションなんだろう。

プロジェクトゴールを決めるときはビジョンを描くからチームの状態も自然体でゴールに含まれてくる。でもスプリントゴールってタスクがどうゆう状態になるかになりがち。DSでそれを毎日確認するから、結果としてタスクをこなす事が至上命題になっていく。そうならないようにチーム状態をスプリントゴールに設定するのは大事だと思った。

チーム状態を言語化するのは難しいかもしれないが、ファジーでも良いから言語化する事で少しづつチームの方向性が合っていくのだろう。

ちなみに、各スプリントで設定したスプリントゴールはこんな感じ。↓↓

今後もやりたい。本務側でもやりたい。
きっとケイパビリティを高めるためのプロジェクトだったから気付けたのかな。うん、なんか一歩前進できたような気がする。

という事であまりPOらしくなかったかもしれないですが、私のPO体験記でした。
最後まで読んで頂いてありがとうございました!