ラボで2チームのスクラムマスターをやってみて

この記事は2023年12月アドベントカレンダー21日目の記事となります。

みなさんお元気ですか。相も変わらずスクラムマスターに勤しむぼくです。
ラボ活動も2年目に入り3Qに入った時に、ふと室長から2チームのスクラムマスターになってみるかと言われ、新たなことに取り組むのは嫌いじゃないのでやってみることになりました。
やってみた印象としては、みんなの手厚いサポートもあり、何とかやれている・・・かな?という状態です。

1. 複数チームを抱えるのはアンチパターン?

昔、スクラムマスター研修を受けた際に、スクラムチームは集中するためにも1チームに集中した方が良いと教えてもらったことがありました。複数のチームに参画する場合は月、火はチームA、水、木、金はチームBのように、曜日によってどちらかのチームの作業に集中できるよう寄せる方が良いそうです。
それはそうなんだろうなと思いつつもそんなに容易く時間調整できるものでもないだろうなと思っていました。

そして今回、ラボでやりたいことを厳選してチームを編成しましたが、それでもスクラムマスターが足りておらず、私が2チームのスクラムマスターをやれないかと相談が来ました。やってみて無理なら声をあげようというくらいの気持ちで「まぁやってみるか」の精神で始めました。

担当が決まったチームは、一つが「仮説検証の活動を主軸」としたチーム(以降、チーム仮説検証)、もう一つが「ラボの活動で活用しているツールをベースにものづくり」をするチーム(以降、チームものづくり)です。
チームの特長に大きな違いがあったのは良かったかもしれません。どちらも同じようなものづくりをするチームだと、自分がどのチームのスクラムマスターをやっているかわからなくなりそうだからです。

いざ、2チームのスクラムが始まりましたら、どちらも同じ2週間1スプリントでやっていくことになり、さっそく自分の中で頭がこんがらがってきました。

2. チームとしての問題

両チームともにスプリントプランニング、毎日のDS、スプリントレビューレトロスペクティブといったスクラムイベントにバックログリファインメントも加えて実施します。さらに必要に応じてモブワークを入れていくとなると、いつがどのチームのどのイベントなのかが明確にならないと、もう何が何やらさっぱりわからなくなりますし、当時はなりかけていました。

特にチームものづくりのほとんどのメンバーが割合の大小はあれど兼務で、なかなか全員の集まる時間を確保しづらい状態にありました。そのため、最初期はとりあえず集まれるメンバーで集まってインセプションデッキを作ろうとしていました。
この状況にPOからチームに対して以下のコメントが投げかけられました。

POロボ

結局誰がいつどの時間に集まれるのかわからないので、このままだとチーム活動にならない。
まずはこの時間に必ずチームメンバーが全員集まれるという時間を皆で「確約」しよう!

これ、スクラムマスターである私から言いたかったセリフでした。自分もチームものづくりでは、メンバーが全員集まれることはないだろうし、自分もチーム仮説検証があるから全員が集まるのは無理だなと諦めていました(自分が諦めていることにPOのセリフを聞くまで気づいていなかった・・・)。でも、時間調整すら諦めているチームに、スクラムの5つの価値基準の「確約」もそうですが、3Qが終わった時に後悔が残るだろうなと感じました。

3. スケジュール調整に一工夫

POからのコメントをきっかけにチームで皆(PO、開発者、スクラムマスター)が100%集まれる時間、開発者が集れる時間が1週間にどれだけあるのかを確認しました。1スプリント2週間でPO、開発者、スクラムマスターが参加する時間(赤枠:スプリントプランニング、バックログリファインメント)開発メンバーが全員参加する時間(青枠)スクラムチーム全員に加えてステークホルダーが参加する時間(黒枠)と整理することができました。

スケジュール時間調整後
左側スプリント1周目、右側スプリント2周目でチームが集まれる場所をプロット(クリックすると大きく表示)

この効果は絶大で、チームものづくり誰がどの時間に出るかが見える化されたのでリズムに乗ってスクラム活動を進めることができました

あとは私がチーム仮説検証とどう折り合いをつけて進めるかです。

ここは私が少し意図的に狙ったことがありました。それは、2チームのスプリントを1周ずらすようにしたことです。つまり、チーム仮説検証スプリントレビューを行う2周目の時に、チームものづくりスプリントプランニングを行う1周目といった具合です。

月曜のみ一部重複がありますが、それ以外でチーム全体で出席必須と決めたものは出られるよう調整できました
チーム仮説検証のスプリントレビューはステークホルダーと毎回日時が異なるため固定化はしませんでした

これが私自身にとって両チームのスクラムを進める上でよいリズムになり、スプリントプランニングスプリントレビューレトロスペクティブを常に1チームの分として「集中」して取り組むことができました。
おかげで、双方のチームメンバーの働き方を落ち着いて俯瞰することができ、必要と思ったメンバーとは1on1を実施し、POと個別にコミュニケーションをとってチームをよりよくするための相談を行えました。

4. 基本はやっぱり大切だった

今回、2チームのスクラムマスターをやってみて、思っていたよりも大変ではなかったなと感じています。それは基本中の基本であるスケジュール調整を行いスクラムのリズムを作れたからに他ならないと確信しています。当たり前のことがちゃんとできることの大切さをとてもよく理解できた3Qでした。
これからも色々なことを実験して、スクラムマスター経験値を増やしていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

スクラムマスターの航海はづづく