チームビルディングの意義・目的とは
スクラムの開発はプロダクトオーナー、開発者、スクラムマスターから成るチームで行われます。
スクラムの開発では、開発チームは機能横断(クロスファンクション)型であるという特徴があります。機能横断型とは、プロダクトのライフサイクル(設計、ビルド、テスト、デプロイ、実行)を全てやり切る体制ということです。機能横断的なチームとして振る舞うには、チーム全体でバランスのとれたスキルセットを備えることが必要です。
チームのメンバー全員が、プロダクトのライフサイクル全てに関するスキル・知識を持つことは難しいため、1人の個人だけでは不足している知識・スキルは、チーム全体で補い合う必要があります。そのため、アジャイル開発ではメンバー全員が一体となって開発を進めていく必要があります。チームが早い段階で一体となるために、開発開始前のチームビルディングが重要とされているわけです。
この記事では、チームビルディングの一環として、以下の4つのワークをご紹介します。
・チームの目的を揃えること、共通の目標を認識することを目的とするインセプションデッキの作成・共有
・協働で仕事するためのやり方・取り決めを整えるワーキングアグリーメントの作成・共有
・お互いの持ち味を把握するドラッカー風エクササイズとスキルマップ(星取表)作成
インセプションデッキの作成・共有
インセプションデッキは、プロダクト開発を始める前に、プロジェクトのミッションやビジョン、状況、背景についての共通理解をプロジェクトに関わるステークホルダーと作りあげるためのツールです。プロジェクトを開始する前に答えておかないとまずい質問と課題から構成されています。
関係者全員でミッションやビジョンを共有することで、チームのメンバ全員がプロジェクトを成功させるために適切な判断を下せるようになります。
ウォーターフォール型開発における「プロジェクト憲章」に類似していますが、プロジェクト憲章がプロジェクトマネージャーが作成しオーナーの承認を受けるものに対して、インセプションデッキは、ステークホルダーを含む関係者全員で作成する、という点で異なります。
ワーキングアグリーメントの作成・共有
チーム全員で「守るべきルール(価値観・行動規範など)」を定めます。チームやプロジェクトの状況に応じて変更します。
自律したチームを目指す取り組みであり、ルールは具体的で誰もが同じ見解で判断できるもの、状態や数値が記載されているものが望ましいです。
ワーキングアグリーメントはチームがストレスを抱えず、衝突することなく仕事を進めるための重要なルールです。
チームメンバーのことを知る
お互いの考えや価値観、期待のすり合わせを行います。
例えば、4つの質問の回答を共有するドラッカー風エクササイズを利用して個人特性の共有を図ります。
スキルマップ(星取表)の作成
スキルマップ(星取表)とは、チームメンバーがどのようなスキルを持っているかを見える化して、俯瞰するためのツールです。
横軸にプロジェクトで必要なスキルを並べ、縦軸はメンバーの名前で構成し、スキルの習熟度合いを5段階で書き込んでいきます。
スキルマップを作成することでメンバーの得手不得手が一目でわかるようになり、特定のメンバーへのスキルの偏りも把握することができます。