市谷聡啓さんにプロダクトの勉強会を実施いただきました

この記事はInsurtechラボ202403アドベントカレンダーの6日の記事となっています。(だいぶ遅れての記載です。ゴメンナサイ)

Insurtechラボについては今年度で解散になり、次年度はまた新しい組織へ解散統合されます。新たなメンバーでの実施となるため、来年に向けて市谷さんにプロダクトに関する勉強会を開いてもらいました。

勉強会の概要

内容的には「デブサミの内容」を中心に「アジャイルの現状」や「正しいものを正しくつくる」の内容足した感じで、プロダクト作成におけるアジャイルの重要性を説明いただきました

・DXに関してデジタイゼーションは進んでいるものの、「価値創造」といったテーマはまだまだ。DXという言葉自体も下火になっているが、ビジネス自体を変革して価値を産んでいくというDXの本質は変わらない

・そのためには探索/適応のケイパビリティが必要。すなわちアジャイルだが、システム開発のアジャイルは進んでいるものの、ビジネスのアジャイルはまだまだ。米国では、各種指標の見直しを月1でやりながら、探索/適応している会社が多いものの、日本ではそういった行為自体対象外の会社が大半

・プロダクト作りについて、ソフトウェア作りと同一で考えると上記価値探索という意味ではうまくいかない。プロダクト/ソフトウェアとも作るという行為は同じであっても目指す概念は異なる

・ソフトウェア作りが中心になると開発自体のアジャイルにしか焦点が当たらないが、仮説検証活動とアジャイル開発を両面で考えていくのがプロダクト作りでは必要

・また収益を追うのは当然であるものの、収益は結果となる遅行指標のため、プロダクトのアウトカムに焦点を当てる必要がある

・アウトカムを考える際に対象は「顧客であり、プロダクトであり、チーム」となる、そうでないと持続可能性がない。これら3点に対するフィードバックループを早く回していく事が重要

・フィードバックループを回す上では、解決手段だけでなく解くべき問題の設定が重要。解くべき問題について探索適応できるかが大切。

・また、上記探索適応についてはアジャイルで進めていくが、アジャイルという言葉にもいくつか起源がある。ソフトウェアのモノづくりに比較的に焦点を当てたXPやリーン、カンバンといったアジャイル。プロダクトに焦点を当てたスクラムや、リーンスタートアップ等のアジャイルといった形で、いくつか起源がありながら、現在のアジャイルができている

・解くべき問題の設定まで焦点を当てるためにはリーンスタートアップ、スクラムといった複数の要素を混合した考え方が重要(また言うまでも無くソフトウェアのアジャイルができる事は前提となる)

・仮説検証においては「か・かた・かたち」で考える。か(価値仮説)、かた(機能仮説)、かたち(形態仮説)

・価値探索においては少なくとも3回回す必要があると考える(CPF,PSF,PMF)

・上記を踏まえた「仮説検証アジャイル」として考える。またチームで考えていく

参加者の声

・日本の会社は最適化が得意で探索はあまりやれてないは、まさにそう

・日本では改善は受け入れられやすいけれど、変化は拒まれるイメージ

・DX白書でIT会社ではIT部門については、50%がアジャイルを取り入れているor一部取り入れているとあったが、思ったよりも多い

・アジャイルできる人の特性やスキルについて「解くべき問題の設定とか、目的に関心が向く人」はなるほどと感じた

・もっと上位層にもこういった勉強会を聞いてほしい

・日本でプロダクト開発している人はゴロゴロいない。ソフトウェア開発の人がゴロゴロいる

・市谷さんのスライドで出てくる「間違ったものを正しくつくる」は最近、たしかにと思うようになってきた

・OUTCOMEではなくOUTPUTに目を奪われるのは、分かっていても引きずられがち

・SIerでは、期限内にシステムが完成しました!(アウトプット)が評価になってしまうので、OUTCOME思考はより難しい

・持続可能性のある良いチームを作りたい!

・何でもできる理想的なPOは存在しないし、存在しても稼働が空いてない

・fromに向き合うのはかなり辛いので避けてしまっていたのかもな〜

感想

 私は市谷さんマニアなので(本やスライドやブログをコンプリートして講演も行ける時はだいたい聞いてる)、とても納得できる内容でした。ラボでは2年間ずっとこういった事をやってきたので、元のメンバーはなんとなく理解できると思いますが、初めてこの話を聞いた時はだいぶ違う世界に感じて、「とても、わかるけど・・・(実際は)」とも思ったので、新しいメンバーがどう感じたかは気になるところです。

ただ、組織ができる前にこういった話を一緒に聞けているだけで素晴らしい事だと思っていますし、来年以降メンバーやプロダクトが変化していく中でまた良い動きが産めればなと思ってます。(「とても良かった」といった感想はもらえました。)

市谷さん、参加してくれた皆さま、本当にありがとうございました。