「学ぶ」ということは「変化する」ということ

こんにちは、ラボで働く仮説検証型アジャイルおじさんです。本稿は、ラボアドベントカレンダーとしてお寄せしています。ということで、みなさん….

日々学んでいますかー!

 ”行動についての学習は変化を意味するから、学習と変化は同じコインの表と裏” にあるわけです(「ソフトウェア開発を変革する -もっと俊敏になるために」)。学習とはすなわち変化、変化とはすなわち学習。日々どれだけの学びを得て、自らが変わっているのか、問うべきはそこであります。

さて、何をまなぶのか?

 さて、何を学ぶのか? エンジニアの皆さんであれば、1年に1つ開発言語を覚えていくなんてことは当然取り組んでいると思います。これは皆さんご存知、「達人プログラマー」の有名な一節ですね。自分自身の ”知識ポートフォリオ”(何を知っているか、何が出来るのか) を捉えておきましょう。そして、自らの知識ポートフォリオをメンテナンスし、そこに投資していくのは自らの責任に基づくものです。それは自分のことについて責任を持つのは自分自身であり、どうありたいかを決めるのも自分に他ならないということです。自分のハンドルとは自分で握るものです。こればっかり他人や組織やご家族がなんだかんだ言えるものではありません。

 ちなみに達人プログラマーは私にとって、はじまりであり、終わりの一冊です。未だに、その初版版を持っています(実に2000年発刊です)。いまだ、ページを開けばそこに学びありです。かつて自らが引いたマーカーがいまだそこにあり、何に自分が感銘を受け、そこから何を考えていたのか透けて見えてくる次第です。こうした、人生において繰り返し繰り返し読み込むべき一冊というのが必ずあるものです。みなさんもぜひ、自らの傍らに置いて年単位でも見直す分身を置いておくと良いかと存じます。

 

 2000年発刊ですから、もう20年も経過しているわけです。それでいまだに開くたびに学びがあるのはどういうわけか? 書いていることは変わらないのに、なぜ学びを得るのか。それは、自分のほうが変わっているからです。本当に自分の拠り所となるものとは、時を超えて向き合い続ける習慣を持ちましょう。その理由は3つあります。時とともに、

 (1) 言っていることが分かるようになる(守)

   (2) 異なる意見が言えるようになる(破)

   (3) 別の視点を持ち、本文以上の解釈やものの見方を持てるようになる(離)

 まずもって、言っていることが段々分かるようになる。その後、経験を一定積むことによって、本文とは異なる意見を言えるようになる。さらにその後、別の視点を持ち、本文が語っている内容以上の解釈やものの見方が持てるようになるため、同じ内容であっても学びを得ることが出来るわけです。3点目には最初の学びを越えた、学びを新たに得る。学びほぐしの体験が待っている、というわけです。

 さて、実のところ学ぶと言っても、どう学ぶか様々なスタンスがありそうですね。どういう手がかり、足がかりを持って学びに向き合うと良いのでしょうか。

 2つの姿勢があります。一つは、自分のやっていることを良くする、というスタンスです。もう一つは、自分がやっていないことを始める、です。

 なぜこれらのスタンスが大事なのでしょうか。一つ目についてはわかりやすいと思います。自分が今取り組んでいることについて、より良くするためには何が必要か、という観点です。この姿勢を持つことによって、日々の営みをカイゼンし、結果へと直結していくわけです。効率的になることで、自分自身の余裕、時間を作り出す。あるいはチームの成果が高まるよう「ふりかえり」でカイゼンに皆で臨む。チームの機能性を高めることになり、自ずと結果へと繋がっていくでしょう。「自分のやっていることを良くする」は日々、胸に持って起きたいところです。

 もう一つの「自分がやっていないことを始める」はどうでしょう。人は日々目の前のことに最適化していく傾向があり、やれていないことにはどうしても手が出しにくくなっていきます。やってみて結果に繋がらなさそうなこと、つまり不慣れなことの優先順位はなかなか上がらないわけですね。 

 でも、それでは自分の可能性も、チームの未来も、広がっていきません。やれていないところとは常に「伸びしろ」にあたります。だから、冒頭に挙げた「達人プログラマー」でも、”毎年少なくとも一つの言語を学習する” と述べているわけです。言語をいくつも覚えることに何か意味があるのかと思われるかもしれませんが、言語が異なれば同じ問題でも違った解決方法が存在しうるため、自分のアプローチを増やすことに繋がる次第です。ということで、 あえてやれていないこと、やっていないことにも目を向ける必要があるのです。

 それに一つの言語を体得していれば、そこを軸に、新たな学びを得ていくのは最初の言語を学ぶより低コストで済ませることができます。最初の学びとの比較でもって、相対的に理解をすることができるからですね。自分の中にある自信あるもの、強みと言えるもの、こうしたものをまず作り、あとはそれとの比較や、転用を考えていく。学びを広げていくコツです。

 最後に、自分が果たして学びを得ていくのか?ここも気になるところですよね。本当に成長しているのか、どうか、意外と自覚しにくいところです。ここを分かるためには「自分が以前に比べてどれだけ異なる行動や判断が出来ているか」をふりかえりましょう。 ”行動についての学習は変化を意味するから、学習と変化は同じコインの表と裏” の真意とは、学びによって、自らの考えとふるまいが変わっていくということなのです。ですから、学べているか?ということを分かるためには、自分がどれだけ変化を起こせているかに着目すれば良いということになります。

 これは、私の手元にある「達人プログラマー初版」における自分のメモです。2003年頃において「若い頃はそう思っていなかった」と、既に自らの変化を自覚している次第です。いつの時点においても自分の変化は常に感じることが出来るわけです。学んで自分自身を変えましょう。そして、変わった自分に基づき、次の学びを講じていくこととしましょう!