はじめに
インタビュー結果を分析するのにKA法を用いて整理してみましたので、成功した点や失敗した点などをご紹介したいと思います。
KA法自体は他サイトに詳しく載っているので、本記事では詳細な手順は説明してませんのでご了承ください。
まずは、今回行ったのは作業。
- インタビュー発話を記録&文字起こしする
- KAカードを作成する
- グループ化(小⇒中⇒大)
- 文章化(叙述化)
次に利用したものです。
- Clova note β
- サウンドレコード(Windows標準機能)
- ステレオミキサー(Windows標準機能)
- Miro
1.インタビュー発話を記録&文字起こしする
従来ははインタビューアとは別に記録係が手動にて記録していってましたが、重要な会話が漏れていたり、記録係のニュアンスが混じってしまうことがありました。
それを解消するため、今回はツールを使って記録しています。
発話の録音
録音は出来るだけノイズが入らないようにしたかったので、Windows標準機能にあるステレオミキサーを有効にして、PCから出力される音声をそのままサウンドレコーダーを使って録音しました。
文字起こし
正確に記録するためにClova note βを使って文字起こしを行いました。
Clova note βはLineアカウントが必要になりますが、文字起こしツールとして以下の点でお勧めです。
- 一部制限あるが無料で利用できる
- 精度は8割ぐらいは正確に文字起こしできる(会話している人の口調も影響します)
- 文字起こしされた文章をクリックすると再度その部分の音声が聞きなおせる(これ良く使いました!)
成形
文字起こしされた会話は「はいはい」や「えーと」などといった相槌やつなぎ言葉が入っており、この後の分析作業でノイズになります。
ただし、綺麗な文章に仕上げることが目的ではないので、機械的にできる部分をサッっと時間を掛けずに成形します。
- Clova noteからExcel形式でダウンロード
- 発言者をインタビューアと@@さんに置き換える
- 「はい」「はいはい」など相槌だけの不要な行を削除する
- 「はい、」「あ、」「あー、」「えっと」「えーと、」「あのー、」などのつなぎ言葉を削除する(置き換え機能で一括)
- 最初と最後の質問以外の行を削除する。
- 個人が特定できるインタビューイの氏名などは削除しておく。
- 分析対象の会話を拾いやすいようにインタビューイの行だけ色を付ける。
- Excel上で対象行のセルを選択して、「図としてコピー」を選択。
コピーしたものをMiroに張り付ける。
2.KAカードを作成する
インタビューの発話禄を見ながら「出来事」「心の声」「価値」がセットになっているKAカードを作成していきます。
ユーザの心理が現れる発話や出来事から抜き出していくのですが、これが結構大変💦
「出来事」から「心の声」を書き出すときに自分の推測や意見を入れてはいけないので、前後関係の会話を読み返したり、他メンバーと共有するときも何度も見返して書き直しました。
何枚も同じことを繰り返していっているので、段々とインタビューイの思いなのか自分の思いなのか境界が薄くなってくるのです(T_T)
今回は1時間(質問40分、ペーパプロト20分)のインタビューを4名に実施したのですが、KAカードとしては150枚ぐらい抽出されました。「質問40分」の部分をKA法で整理したので、約1分当たり1枚のKAカードぐらいになります。
時間はかかりますが、曖昧にKAカードを作成してしまうと、後の作業がすべて台無しになり、何度もカード見直しに立ち戻る羽目になります。
3.グループ化
- 小グループ化
- 中グループ化(関連付け)
- 大グループ化(ラベル付け)
の順でグループ化してきます。
グループ化をするときに膨大な量のカードがあるため、AIDMAなどの一般的なパターンモデルを用いて整理したくなります。しかし、これは「恐怖に耐えられなかった人の典型的な失敗パターン」と言われており、見事に私たちのチームもAIDMAで整理しようとしてしまいました。。。
なんども迫りくる恐怖に立ち向かい、グループ化しきったのが以下の価値マップです。
グループ化作業中も「価値」に疑問を持つことがたまにあり、再度インタビュー発話禄に立ち戻りKAカード自体を見直すことも。
「カード作成に時間を掛けること」が重要です。\_(・ω・`)ここ宿題に出るよ
4.文章化(叙述化)
グループ化作業が終わると価値マップが出来上がりKA法としては一旦完成なのですが、文章化(叙述化)することが勧められています。
私たちのチームもそれに倣って文章化もしてみました。
手順としては、作成した価値マップの内、重要な価値があるものをピックアップして、それを軸に心理パターンの表を作成していきました。
(重要な価値=赤い星が付いているグループ)
最終的な文章化までできると、膨大なインタビュー結果から想像できないほどスッキリして、要点だけにまとまりました。(・ω・)bグッ!
最後に
KA法をやってみた感想をデメリットから、
- はじめは想像以上に時間がかかる。
- 心の声やユーザが求めている価値を考えていく手法なので、勝手な推測や思い込みが入り込んでしまっていないか常に不安になる。
- ユーザの行動に至った背景を考えていくことが自然とできるようになる。
- ナンバリング(No.)されているため、終盤のフェーズでもカード化時点に立ち返りやすい
- 作業フェーズごとにまとめるべきゴールが明確なので、複数メンバーで同時に作業しても統一感があった。
ユーザの思考を深く覗いていくような手法なので課題探索リサーチにはとても有用だなと感じました。
はじめは時間が掛かりますが、複数人で同時に作業を行うこともできるので合理的です。
情報整理ではなく情報分析をしたいんだという方にピッタリですので、場面に応じてKJ法とKA法を使い比べていってはいかがでしょうか。
以上、今回のKA法の結果を仮説キャンバスに反映して、再度検証を・・・と私たちチームの成長の旅は続きます。