ハンガーフライトとは
もともとは天気が悪くて飛行機が飛ばせないときに、パイロットたちが格納庫(ハンガー)の中で、ベテランパイロットが若手に自分の経験談を語って聞かせていました。航空機器も未成熟でインターネットもなかった時代には、そういった雑談が若手の経験不足を補う貴重な情報源となっていた、ということのようです。
InsurTech研究所の「スクラムマスターハンガーフライト」は
ラボのスクラムマスターハンガーフライトはラボ内の各チームのスクラムマスターが、あまり気負わずに週次で集まって、所属するチームの運営課題や悩み、もやみ、愚痴などを共有したりする、必ずしも何かの課題解決や成果に結びつくものではなく、何かそれぞれで新しい気づきを得られれば、という「ふわっ」とした感じの集まり。
誰でも入退室自由だが、あまり他からの参加者は多くなく、基本的にスクラムマスターのみで開催している。
当初の予定では、「守」のスクラムを目指してスクラムチームを観察した結果(スクラムチェックシートのようなもの)の共有を予定していたが、欠席者がいたこともあって、アジャイルのテーマを1つ選んでみんなで思うところをワイワイと話してみよう、ということになりました。
選ばれたテーマは満場一致で「5つの価値基準」。皮切りは「勇気」。
「5つの価値基準」の『勇気』についてのブレインストーミング
「価値基準の勇気、って開発で新しいことにチャレンジする、ってことのほかに勇気が必要な場面って?」という問い掛けから始まりました。
ちなみに「スクラムガイド」には、有機に関する記載は下記しかありません。
“スクラムチームのメンバーは、正しいことをする勇気や困難な問題に取り組む勇気を持つ。”とだけ記載があります。
スクラムガイド
ハンガーフライトでは、以下のような意見が出ました。「勇気」が必要とされる場面は個人によって異なる。場面によっては「勇気」が必要な人もいれば、自然とできてしまう人もいる。おしなべて同じ対象に対して同じ重さの「勇気」が求められるわけではない。という気づきに至りました。
- 開発の場面において(eXtreme Programmingの19のプラクティスにある)「リファクタリング」は間違いなく勇気が必要な作業だよね。今、正常に稼働している機能に手を入れるわけだし。
- 開発以外の、例えばレビューの場面においても「フィードバックをする」ことも、無責任な意見を言えるものでもなく、ある意味で勇気が求められるし、それを受け止めて次につなげることも勇気。
- 例えばみんなが利用するようなガイドや、一時的にでも参照する文章を記載する場合にも、誤解を生まないように書くこと、公開することも勇気が必要。人によってはみんながいる中で発言することにも勇気が必要だったりするかもしれない。
- デイリースクラムでも課題が小さな(1日分のサイズの)うちに、大した問題じゃないと勝手に判断せず、チームで共有することも勇気。もちろんそんなレベルの課題でも共有できるだけの心理的安全性は前提になる。
- うまくいっているプロセスをそのままにせず、更によくするために手を入れて改善することも勇気。
- MVP(Minimum Viable Product)として「必要最低限の機能を備えたプロダクト」を定義することも勇気だったりする(LINEアプリを例に)。
- ドラッカー風エクササイズなどで自己開示することも勇気が必要。
ハンガーフライトをふりかえって・・・
そんなこんなで期せずして大盛り上がり。それぞれが自分の考える「勇気」について、思うところを述べ合って、あっという間に45分程度が経過。「5つの価値基準」が対象だったにもかかわらず、「勇気」だけでタイムオーバーでした。加えて誰もがこれまでになく(というと語弊はありますが)、意義深いハンガーフライトになった、と感じていたのではないでしょうか。
終わった後で「チーム内で勇気について考えるようなワークをしてもいいかも」という意見があったり、「スクラムの三本柱の「透明性」と価値基準の「公開」ってかぶってない?」といった次の議題の提起があったりでした。
これからのスクラムマスターハンガーフライトが(というと語弊はありますが)ちょっと楽しみになってきました!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。