チームビルディングの鉄板_合宿のススメ

 ラボでは毎年、仕事を推進する上での合宿をやろうと考えています。(というかどの組織であっても私は合宿は必須と考えています。) 先日も、ラボの上位組織である事業部のリーダー層でも合宿を企画して実施しました。

 しかしながら、以前外部登壇したときに合宿の有用性を語ったのですが思ったよりも経験者や同意者が少なかったのを覚えています。私も合宿の常連者ではないですが、なぜここまで合宿にこだわっているか、理由をお伝えしようと思います。会社での合宿がよりブームになったら幸いです。

やる前は100%有用性は伝えられないと思った方が良い

 合宿に対しては、自分もメンバーもやる前は必ずとして言ってよいほど、「合宿をやる意味はあるのか?」「アウトプットを出すために非効率的では?」といった、想いを抱きます。

「夜飲んで、翌日ミーティングをするというだけなら、日常の延長でもできるのではないか?場所押さえたり、移動したり、調整したりして、負荷をかけてまで実施する意味はあるのか?」

上記の質問に対して、論理的に回答できるノウハウを私は持っていません。

 とりあえずやりましょうでノリで押し切るという事が重要と思っています。いくつかは効果の説明はできるのですが、正直実施してみないとどうなるかわからないので、一番は野中郁次郎先生が言っているからという事で乗り切るのが大事かと思っています。

 野中郁次郎先生も言ってますし、「あなたのチームは機能していますか?」も合宿をテーマにしていて、チームになるために必須と扱われていますので、とりあえずノリで合宿のしおりを作りながら、楽しんでやる事を前提に進めていくと案外簡単にできます。

合宿の目的について

 合宿の目的・ゴールについては定めて方が良いですが、ただ、合宿での一番の効果は「お互いの関心の醸成」です。普段仕事をしていてもお互いの関心についてしっかり共有する場はなかなか持てない為、こういった時間を取ってしっかり理解し合う事が一番の効果だと思います。仕事の文脈では必ず関心事がありますが、個人の関心事と仕事の関心事についてどうつながっているかはなかなか普段は分からないものです。

 この事を共有しないと、仕事を協働で進めていくという事は困難で、効率化と分業のメンタリティに取り付かれます。効率化と分業で進めていく事も仕事を進めていけますが、リーダ層での検討や新しいビジネスを検討する等の不確実性が高い仕事においては『分業』では歯が立たず、『協働』が必要になると思っています。その『協働』を進める第一歩に合宿は最適です。

合宿の準備

 という事で合宿をやると決めたら準備になります。

【メンバーの決定】

 人数が多すぎると関心を育むことが難しいため一定人数を制限するか、人数多い場合は合宿のなかでもチームを分けると良いと思います。(two Pizzaチームまでが基本)また、現地参加が基本ですが、オンラインでしか出れないメンバーがいれば、どうサポートするか?等を決める事も重要で、オンラインであっても切り捨てないように進めましょう。

【日時の決定】

 日時を決めることで一気に進めるので、上記メンバーに「もし合宿をやったら参加できない日時はいつか?」という事で日時をヒアリングして、とりあえず仮で決めてしまいましょう。上記した通り、合宿の有用性を事前に説明することは難しいため、やるかやらないかの決定の前に、仮決めで日時調整してしまうという所がポイントです。

【場所の決定】

 我々はAirbnbで人数が入れる民家を取っての実施としました。ホテルや研修所でもよいですが、合宿の勝負は1日目の飲み会です。その飲み会を時間や周りを気にせず語り明かせることがポイントで、そうなると民泊が一番やりやすいと思います。海や山等ちょっと非日常感を演出できるとなお良いですが、会社の近くの民家を取ってやっても盛り上がったので、とりあえず実施することが肝要です。

【しおりの作成と準備】

 ノリよく進められるように小学生のように合宿のしおりを作成しましょう。また、負荷を下げる為メンバーで協力しながら、食事の確保やお菓子の確保等をしましょう。また会社でどういったお金が出るのか?という事の調整も重要です。(初めての合宿だと精算の仕方の調整もかなり大変でしたが、仕事を進めるために実施するものなので、なんとかなります)

 また、道具としては下記を準備すると良いです。

  • 模造紙
  • マスキングテープ(模造紙を壁に貼ってはがせるように)
  • 強粘着の付箋
  • マジック
  • WIFI環境の確認
  • コンセントと延長コードの確認

【コンテンツ作成】

 上記日時調整と踏まえてコンテンツの作成です。今までやった合宿では、初日は夕方からの実施で、飲み会中心。2日目は1日ワークショップという形でした。

 どんな目的でどんなワークショップをやるか?それを踏まえて事前インプットとして準備する内容はあるか?等を考え、合宿の前に一定検討作業を始められると良いと思います。事前インプットのばらつきが合宿の実施に大きく影響するため、とにかくインプットを揃えることに力を掛けたほうが良いです。事前作業もですし、当日同じ情報が見れるよう、必要な情報は紙で印刷して渡す等も良いと思います。

 また、コンテンツと目標は立てつつも、合宿の状況に委ねながらフレキシブルにコンテンツを変えることも重要だと思います。

合宿の実施

【導入】

 買出しやワークショップしやすいように模造紙を壁に貼ったり、それに伴って家具を移動したり、準備をしましょう。ワークショップ専用の空間を作ることで、非日常感の演出やこれから実施する作業について覚悟を決めるきっかけになります。

【合宿での勝負ポイント】

 1日目の飲み会が勝負です。ここでいかにお互いの関心が違っている部分と共通している部分を把握するかがポイントです。飲み会をしながらごはんを食べて、少し落ち着いた所でワークショップをやる事がお勧めです。

 おすすめのワークショップとしては、自己開示に繋がるワークショップが良く、メンバー毎に自分の事を紹介してもらいながら、周りの人はツッコんだり、他の人との同じ点や違い点を話すと良いと思います。

『偏愛マップ、ドラッカー風エクササイズドラッカー風エクササイズB面、ムービングモチベーターズ』

等がお勧めですが、一番おすすめなので、ドラッカー風エクササイズB面です。

ドラッカー風エクササイズB面

①自分は何が不得意なのか?

②どういう風に仕事してしまうか?

③自分の地雷は何か?

④むかしチームメンバーの期待に応えられなかった事件とは?

について付箋に書いて、皆で共有し合う

 このワークショップは飲みながらやるのに本当に最適で、この点を各メンバーが開示しだすと、その後飲み会が終わるまでの話が一気に濃い話になると感じています。単に個人の話をしているだけなのですが、なぜかチームとしてどうするか?どう助けあうか?と言った議論に繋がりやすいと感じています。

 また、この会話の中で出てきたテーマを翌日のアジェンダ【重要なテーマ】として書き残して置ければ、翌日の成功は間違いないでしょう。

【翌日のワークショップ】

 しおりで設定した内容に準じてワークショップを実施していきましょう。まず疲労するので、休憩を取ったり、場合によってはゴールを目指すことよりも寄り道や戻ったり事を重視しながらチームでの議論を楽しみましょう。前日に重要なテーマを洗い出せたら、その点を時々ふりかえるとなお良いでしょう。

 また、チームでのゴール感を考える中で非常にお勧めのフレームワークがラディカルプロダクトビジョンで紹介しているラディカルビジョンステートメントです。

 これはプロダクトにおけるビジョン設定で使うフレームワークですが、組織自体のビジョン設定でも使える汎用的なフレームワークだと思います。

 他にも色々なフレームワークがあると思いますが、合宿の中のディスカッションで適宜紹介しながらファシリテートできると非常に良いと思います。

 ただ、一番重要なのはファシリテートよりメンバー自体でしっかり話すことだと思っています。

【終わりに】

 終わりは合宿の感想を一人ずつ言ってもらいましょう。これはかなり重要な儀式で、このタイミングで初めて、合宿の効果を体感できると思います。また、最後にファシリテーターさんが合宿の目的を踏まえて、日常に戻った際ののりしろについてコメント・共有できると良いと思います。

「○○が終わるまでが合宿です。この合宿で得た△△を○○に戻ってつなげていきたいと思います。ありがとうございました。」

と言った感じで、この後のタスクについて共有できると良いと思います。

【その他TIPS】

・休憩の時散歩するや、皆で買出しに行くなどの行動が後々ポイントになる為、おすすめ

・オンラインの人や今後を踏まえて、合宿の様子やワークショップの記載内容を写真に撮って、チャットにアップする。話の内容を適宜チャットに挙げるのも他の人も見れて良い

・マジックで壁に貼っている模造紙に書き込むときは後ろの壁にうつらないか注意する

Fearless Changeのパターンも意識すると良い(ブラウンバッグ・ミーティング、何か食べながら、グループのアイデンティティ、空間を演出する、場所重要 等)

感想

 今年は、事業部での合宿も実現できました。またラボ自体での合宿第2弾についてもこれから調整したいと思っています。

 最初の野中郁次郎先生の話を読んだときは『都市伝説』と感じていた合宿ですが、やってみると意外とできる為、もし興味がありつつ悩んでいる方がいたら、ノリで押し切ることが重要かと思います。いざやってみると、「○○チームも合宿やったら良いのに?」だったり、「また実施したい」みたいな意見が必ず出てきています。

 どんな単位でも協働を進めるために本当にお勧めですので、これからも私自身も色々と企画していきたいと思います。

読んでいただきありがとうございました。