ネット保険(ダイレクト型保険)の申し込みサイトが抱える課題3点!

2023年、スマホ等のデバイスから、ネットで保険の契約が出来る保険会社/商品が年々増えている。いわゆるネット保険なるものを、保険業界ではダイレクト型と呼ぶことが多い。ユーザーが相談窓口、営業職員、FPなどの募集人を介さずに、直接(ダイレクト)に申し込むためである。

オンライン申し込みの一番の利点は、時間、場所、人間関係のストレスなどの「制約」から解放されることにある。自分で決めた感も醸成され、素晴らしい!ただし、オンラインでの保険の契約率は低く、生保分野では依然一桁台である。

そう、このダイレクト型保険に関しては、いくつか大きな課題が存在している。

インシュアテックラボにおいても、このダイレクト型保険に着目し、研究開発を行っている。この大きな課題に対してどのように取り組んでいくとよいかを深掘りしていきたい。以下に大きな課題についていくつか取り上げ、記載する。

① 申し込み完了までめっちゃ長い!

ダイレクト申し込みについては、試算から申し込み手続き完了まで、2-30分程度は最低でもかかる場合が多い(※ 申し込み保険会社、保険商品、告知情報などによっても異なる)。

保険は金融商品であり、保険業法という金融庁管轄下の法律において数多くの取り決めが存在する。表示義務のある項目、解釈の幅や抜け穴が発生しないためのガード文言、契約者に同意を取らないとならないなど、ページを増やしたり、長くしたりする要素が満載である。

これらの事項をいかにして減らせるか?

→ 記載義務があるものもあるため、根本t的に減らせない。そこで、確認事項をまとめられる範囲でまとめるなどの工夫が必要となる(※ 一部、UIとして折り畳んだり、隠したりする行為が許されない場合もあるため、デザインとしての省力表現が他業種と比べてかなり制約があったりする)。

減らせないのなら、いかにしてら長く感じさせないか/長く滞在してもストレスを感じさせないようにするか?

→ プログレスバーや残り時間などのロードマップを掲載、ストレスの少ない導線設計等が必要となる。

このあたりは、実際に運用をすること、ユーザビリティのインタビュー、アンケートなど、「改善」の取り組みを常時続けることが最も重要となる。

② 専門用語がマジで多い!

人生で保険を検討したことがない申込者からすると、何を指しているのかわからない専門用語のオンパレードである。

専門用語が難しいだけでなく、保険料払込免除特約なんていう、10文字近く漢字が並ぶも固有名詞もあり、漢字だらけになったり、聴き慣れないカタカナが並んだりと、文字面そのものが、見るものに対して拒否反応を促し、蕁麻疹でも出させてしまうのではないかと思えるほどである。

ツールチップを使用した平易な解説、図や表を用いた視覚表現、コールセンターへの番号表記等、補足情報を加えたり、有人対応へ促したりするのがセオリーである。

ただし、これらの施策のいずれもユーザー側が専門用語を理解するにあたり、「解説を読む」、「図を見て理解する」、「コールセンターにかける」などのアクションを起こさないとならないため、ユーザー負荷が高いものとなってしまう。

ユーザー負荷が低く理解させる(掲載する解説や図などのクオリティやストレスのない解説への導線)アプローチに加え、理解はできないけれど任せられる保障の提示(安心感や信頼感が醸成されるブランド構築/サイト制作のうえ、「保障をお任せ」してもらえるプランの提示)などが必要となってくる。

③ 誰も助けてくれない!

ダイレクト申し込みにおいては、保険の対面販売と違い、保険に関する丁寧な説明を行う職員はいない。そこにあるのはスマホ(または、PC/タブレット)と己のみである。

入力フォーム、告知事項、その他ユーザーに与えられた選択肢の数々… 

何を入れるべきかわからない、どっちにするか悩む、どっちを選べば良いか… 

ユーザーが迷ったり、悩む要素が根本的に多いのである。その際に、どちらを選べば良いか、何を入れれば良いか、契約書を横に申し込みまでの伴走を行う職員はいない。そこにあるのはスマホと己のみであr。

保険商品は、短い契約期間で定期更新が発生する一部損保商品を除いた、第一分野と呼ばれる生命保険系の商品は、人生の中でも消費者とのコンタクトポイントが極端に少ない商品である。

同時に、金融商品として、「儲かる」類のものではなく生活、所有物、行為に対する保障/補償を行う「守り」ものであるため、消費者からの関心が高くなりにくい商品である。

上記の点から、金融商品としての保険に関する知識は、業界の人間、保険の見直しを機に調べた/相談した経験のある消費者、一部マニア(不思議といるんですよね)以外においては、はほぼないといって等しい。

結果、ユーザーは知識不足、判断力の欠如を起こし、迷ったり、立ち止まったりしてしまい、申し込み導線をから離脱してしまう。①の課題の長さも相まって、途中で保留してしまう。対面申し込みの場合はこの場面での、離脱が発生しづらい(営業テクによるものも勿論ある)。

保険のダイレクト販売においては、日々の改善努力やテストを通じて、いかにして「迷わせない」か、各所で検証してくことが重要である。

インシュアテック研究所では、これらのダイレクト販売における課題を認識しながら、開発面、仮説検証面双方からソリューションに向けて取り組んでいます。