Insurtechラボ兼任研究員のたかのです。
この記事は2022Insurtechラボアドベントカレンダーの14日目の投稿です。
最近のビジネス界隈の最強パワーワード「DX」。経済産業省がレポートを出しているので、言葉の定義はキッチリしてきたと思います。
、、、でもイマイチ良く分からない、というのが私の感想。という事で今回は自分が理解を深めるために調べた事と、勝手に考えた結果を垂れ流します。
個人的な意見ですが、みなさんにも良い着想があれば幸いです。
1.DXの定義
人により考えは様々かと思いますが、市民権を得ているところからスタートさせてもらいます。
経済産業省の示したDXレポートでは以下の通り定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
この文章から方法論や具体例を消すと、、、
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、競争上の優位性を確立すること
要はビジネス環境のゲームチェンジに適応して生き残るという事ですね。
これって別に新しい事ではなくて、人類がずっと続けてきた営みですよね。
2.産業革命の歴史
という事で歴史を少し紐解いてみる。こちらのサイトから抜粋させてもらうと、、、
https://www.salesforce.com/jp/blog/2020/12/fourth-industrial-revolution.html
【第1次産業革命】
紡績機により大量かつ効率的に綿織物が作れるようになりました。また、蒸気機関によって鉄道や蒸気船が開発され、輸出も容易になりました
【第2次産業革命】
重工業の機械化が実現し、主要エネルギーは石炭から電力・石油へと移行しました。また、自動車や航空機、船などの大量生産が可能となったことから世界中で市場の獲得競争は激しさを増します
【第3次産業革命】
コンピューターの登場による革命である一方、運搬や溶接を行う産業用ロボットが生まれるなど、人間が行っていた単純作業が自動化され、産業構造における労働の在り方が大きく変化した
【第4次産業革命】
これまで人間が担ってきた労働の一部がさらに自動化されています。またそれにより、労働コストが大幅に削減されるなどの経済的なメリットを企業にもたらしています
イメージはこんな感じ。
レッドオーシャンだらけのビジネス環境に、技術的なブレイクスルーをきっかけに今まで存在しなかったブルーオーシャンが生まれる事でゲームチェンジが促進されてきたわけです。この意味では、18世紀の第1次産業革命も第4次産業革命も変わりません。
でも変わった事もあります。産官学の連携は進み、ブレイクスルーはビジネス活用を意識して発生し、ブルーオーシャンが赤く染まるまでのリードタイムはドンドン短くなってきているのではないかと思います。
スピーディに変わる事業環境を捉えて戦略を立てる、そして赤に染まる前に市場に投入する、途中で状況が変わったらアジリティを持って柔軟に方針転換する。この辺りが『ビジネス環境の激しい変化』の本質なのだろう。
3.サービス価値の変遷
さて、ここで視点を消費者側に移してみる。マズローの欲求5段階説では、人間の欲求にはこの5(+1)段階が存在すると言われています。
①生理的欲求 :生きていたい!
②安全欲求 :安心安全に生きていたい!
③社会的欲求 :人や社会とつながっていたい!
④承認欲求 :他人にも自分自身にも認められたい!
⑤自己実現欲求:ありたい自分でいたい!
+自己超越 :見返りを求めず、自我を忘れてただ目的のみに没頭したい!
参考:https://ferret-plus.com/5369
(各欲求を満たしてくれるサービスも紹介されていて分かりやすいです!)
当然ながら、消費者の満たされていない欲求を満たしてくれるものに価値が生まれます。
日本は社会保障制度も手厚く治安も良いので、①②の欲求は当たり前に近い状態です。
倫理的な課題性は抱えつつも、SNSやコンプライアンス意識の醸成等で、③④を満たすための環境は整いつつあります。なので次に求められるのは⑤自己実現欲求になります。
最近、ストーリー仕立ての広告が多いのは⑤自己実現欲求を刺激したいからなのでしょう。
という事で、以下の欲求を満たす価値を提供する事が『競争上の優位性を確立すること』に繋がるのではないかと思います。
4.氾濫するDX
という感じで概念の認識を深めてみたところで現実に目を向けてみる。
実際、日本企業はどんな状況なのだろうか?
JUAS 企業IT動向調査報告書 2022における、東証一部上場企業とそれに準じるユーザー企業のIT部門長に対するWEBアンケート調査結果は以下の通り。
全体としてはDXの初期段階であるデジタイゼーションを先行企業から徐々に進めている段階のようだ。その事を持って『推進できている』と感じている企業が多いのではないかと思う。
一方で投資額は相変わらず8割弱が現状維持に使われている状況である。
デジタイゼーションを進めている企業に、次に向けたシナリオがあるのか、懇意にしているベンダーの紹介や競合に倣えで行動しているだけなのかは分からないが、まだまだ道半ばの状態にいる企業が大半のようだ。
※デジタイゼーションとかの定義はDXレポートを参照。
5.まとめ
B to B to C を目指すInsurTech研究所のような組織はこれからが勝負所になるだろう。
デジタイゼーションは既に動き出していて後発では難しい。でもデジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの波はまだ少しだけ待ってくれそうだ。
顧客への価値提供を突き詰めて、それをアジリティを持って市場に提供していく。
これからこうゆう事にチャレンジする企業には、InsurTech研究所のサポートが必要になる、、、
そうゆう未来に向けて、日々ケイパビリティを磨こう!!
そんな気分になって、今の活動の意義(Insurtech研究所とは)を再認識できました。
(おまけ)DXの終わり
最後に蛇足ながら「終わり」について考えてみる。
このDXの波はいつまで続くのだろう。技術の歩みが止まるとき?社会の変化が止まるとき?どっちもあまりイメージ沸かない。でも今の人類が考えられている限界地点は近い。技術は人間の代替物を作れそうだし、満たされる欲求は最高次元に近づいている。
そう考えるとシンギュラリティが起こって人間が何も考えなくて良くなるまでか。(本当にその時が来るかは所説あるが、、、)
「DX」はパワーワードから、徐々に当たり前の事に変わっていくとは思うが、私が現役の間はこの活動に向き合い続けるんだろうなぁ、、、そんな気がする。