メタバースプラットフォームの選定基準-clusterを選定した理由-

この記事は202406アドベントカレンダー13日目の記事となります。
【VR未経験エンジニアがメタバースでのWEB申込を実現するための挑戦】シリーズの第2弾として、保険のWeb申込システムをPoCしていたチームが、メタバースプラットフォームのCluster上にWeb申込画面を再現する取り組みを記事にまとめていきます。
前回の記事はこちらから。

メタバース上でやりたかったこと

私たちのチームが当初やりたかった取組は、第一弾の記事でも記載した「メタバースプラットフォーム上でwebブラウザの画面をそのまま表示させる」ことでした。

メタバースプラットフォーム上でwebブラウザの画面をそのまま表示させ、入力できる状態にするのは難しいことがわかってきました。(調査した内容は別の記事でご紹介します)

https://www.insurtechlab.net/metaverse-challenge-1/

その取組の調査内容をご紹介します。

メタバース上でwebviewを使ってWeb申込画面を表示させたい!

メタバース上で申し込みを実現するための最もシンプルな実装は、我々が作ったWeb申込画面をメタバースプラットフォーム上にそのまま表示させることでした。

そこで、VRChatやclusterなどのVRプラットフォーム上でwebViewができるか調べた結果、できないことがわかりました。プラットフォーム上での実現ができない代わりに、WebXRを使ってブラウザ上の3D空間内にwebViewを実装して我々のWeb申込画面をそのまま表示できないか探ることにしました。

WebXRでwebviewを使ってWeb申込ページを表示したい!!

Unityには現在公式で用意されているwebviewの機能がないため、こちらのunity-webviewを組み込んでWebXR上でWeb申込ページの表示が可能か検証を行いました。

Unity上ではWeb申込画面をそのまま表示することができた

Unity上で画面を表示することはできましたがWebXR形式のプロジェクトをUnityで作成するには、WebGLテンプレートにWebXRを設定する必要があります。
しかし、unity-webviewとWebXRテンプレートの共存ができず、この方法の実装は難しいと分かり、既存のVRプラットフォーム上でWeb申込を再現する方針を検討し始めました。

WebXRテンプレートとunity-webviewテンプレートの共存ができない

既存のメタバースプラットフォームを使ってWeb申込を再現する

技術的な問題があり、Web申込画面をそのまま表示させることは断念しました。
そこで、開発で使用するメタバースプラットフォームを選定するため、知名度の高いVRChatclusterを比較してどのような環境であるかを調査しました。

メリットデメリット必要な環境
VRChat・規模は世界最大
・既存のプラットフォームの中では比較的自由度が高い
・世界最大のプレイヤー数(日本国内でのプレイヤーは30万人以上いる)
・基本英語(最近日本語化されたらしい)
・開発制限がある(Windowsしか対応してない)
比較的高スペックのWindows端末
System Requirements – VRChat
cluster・スマホ、PC(Windows、Mac)、そしてVR機器から利用できる
・サービスが全て日本語対応
・同時接続人数25人
・スライドなど仮想空間内で投影されるものが見づらい
VRChatと比べて要求スペックは低め
最低動作環境について – ヘルプセンター | cluster(クラスター)
webXR・スマホやタブレットからでもできる
・webブラウザでできる(ユーザーのアクセス負担が少ない)
・既存のプラットフォームに乗っかるわけではないので作るものが多い
・開発難易度が高い
webXRに対応したブラウザが使える端末であれば実行環境は問わない
メタバースプラットフォームの比較表

チームの状況を踏まえて、プラットフォームを決める

開発環境選定におけるチームの悩み

各プラットフォームのメリット・デメリットを比較してみると、開発をする上で課題となる要素がいくつか挙がってきました。

  • 開発環境が揃っていない
    • 開発PCがWindowsとMacで分かれている
  • VRChatの要求スペックを満たした端末がない
    • 高性能なWindowsマシンを用意する必要がある

clusterで開発していくことを決める

新たに開発PCを購入すれば上記の課題は解消できるのですが、端末の調達に時間がかかります。そのため、端末のスペックやOSを問わずすぐにチームメンバー全員で開発が行えるcluster上でWeb申込を再現することに決めました。

まとめ

web申込をメタバースでサクッと再現する手段として、Web申込画面をそのままメタバース上に表示させる方法を調査しましたが、簡単に出来る方法が見つかりませんでした。
そのため、既存プラットフォームにweb申込画面を再現する方針に切り替え、我々チームの開発環境における課題を解決できるメタバースプラットフォームとして、clusterを採用することにしました。

ということで、次の記事では「clusterで開発するための環境構築」についてご紹介します!