アジャイル開発とは?【変化に強い組織を作る思考法】
「アジャイル開発」という言葉を耳にするけれど、具体的にどんなものか分からない。従来の開発手法と何が違うの?そんな疑問をお持ちのあなたへ。
この記事では、アジャイル開発の基本的な考え方から、なぜ今多くの企業に注目されているのかまで、初心者にも分かりやすく解説します。
変化の激しい時代に対応する開発手法
あなたは今、新しくWebサービスやアプリケーションを開発しようと考えているかもしれません。しかし、今日のビジネス環境は驚くほど速いスピードで変化しています。
ユーザーのニーズは刻々と変わり、競合他社は次々と新しいサービスをリリースします。このような状況で、最初に綿密な計画を立て、完璧な仕様を固めてから何ヶ月もかけて開発を進める従来のやり方(「ウォーターフォール開発」と呼ばれます)では、完成した時には市場のニーズとズレが生じている…というリスクが常に存在します。
そこで登場したのが、「アジャイル開発」です。
アジャイル開発とは?【シンプルな定義】
アジャイル(Agile)とは、「素早い」「機敏な」という意味を持つ言葉です。
アジャイル開発は、その名の通り、計画を厳密に定めすぎず、開発とテストを短いサイクルで繰り返し、変化に素早く対応しながらプロダクトを作り上げていく開発手法です。
まるで、自転車を漕ぎながら進む方向を微調整していくようなイメージです。
アジャイル開発の核となる4つの価値観
アジャイル開発には、その根底に「アジャイルソフトウェア開発宣言」と呼ばれる4つの重要な価値観があります。これらは、単なる開発手法だけでなく、仕事を進める上での「思考法」や「哲学」とも言えます。
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プロセスやツールよりも個人と対話を
厳格なルールや高価なツールよりも、チームメンバー同士のコミュニケーションや、協力して問題解決に取り組む姿勢を重視します。
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包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを
分厚い仕様書や設計書を作ることに時間をかけるよりも、実際に動くプロダクトをいち早く作って確認し、改善していくことを重視します。
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契約交渉よりも顧客との協調を
契約で縛られた関係よりも、顧客と密に連携し、フィードバックを積極的に取り入れながら、本当に価値のあるものを作ることを目指します。
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計画に従うことよりも変化への対応を
最初から決めた計画に固執するのではなく、市場や顧客からのフィードバックに基づいて、柔軟に計画を変更し、対応していくことを重視します。
これらの価値観は、開発チームだけでなく、プロジェクトに関わる全ての人が共有することで、アジャイル開発は最大の効果を発揮します。
なぜ今、アジャイル開発が注目されるのか?
アジャイル開発が注目される理由は、前述の「変化の激しい時代」に非常にマッチしているからです。
- 素早いフィードバックと改善: 短いサイクルで開発とテストを繰り返すため、早い段階で問題点や改善点を発見し、素早く修正できます。これにより、手戻りが少なくなり、開発のムダを減らせます。
- 顧客満足度の向上: 顧客の意見を頻繁に取り入れながら開発を進めるため、「完成したけれど、求めていたものと違う」というミスマッチを防ぎ、顧客満足度の高いプロダクトが生まれます。
- チームの自律性とモチベーション向上: チームに裁量権が与えられ、メンバー自身が主体的に開発を進めるため、責任感とモチベーションが高まりやすくなります。
- 市場投入までの時間短縮: 小さな機能から順にリリースしていくことで、プロダクトをいち早く市場に出し、顧客からの反応を得ながら成長させることができます。
まとめ:アジャイル開発は「成長し続ける」ための手法
アジャイル開発は、単に「早く作る」ための手法ではありません。
「変化に柔軟に対応し、顧客と共に価値を創造し、プロダクトを継続的に成長させていく」ための考え方であり、組織のあり方そのものに変革をもたらす可能性を秘めています。
もちろん、アジャイル開発には向き不向きや、導入のための課題もあります。しかし、現代のような不確実性の高い時代において、ビジネスを成功に導くための強力な武器となるでしょう。
次回は、アジャイル開発で最もよく使われる具体的なフレームワーク「スクラム」について、詳しく解説していきます。お楽しみに!